
一体何が起きた? F1決勝で複数台が加速不能、スタート直前に赤旗。雨のセパンで前代未聞の混乱
2026年F1第16戦バーレーンGPの決勝レースは、開始直前のフォーメーションラップで複数台のマシンが相次いで加速不良に陥る前代未聞の大混乱に見舞われ、赤旗によりスタート手順が中断された。
雷を伴う豪雨の影響で、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでは当初の予定から40分遅れでフォーメーションラップが開始された。
全車がインターミディエイトタイヤを選択し、セーフティーカー(SC)先導のラップを経てスタンディングスタートを行う手順が進められていた。だが、相次ぐマシントラブルによってスタート手順は中止され、全車がピットレーンに戻る事態となった。
相次ぐ加速不良でスタート手順中断
最初に異常を訴えたのは、ポールポジションのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だった。マシンが加速しないと無線で報告し、続いて2番手のルイス・ハミルトン(フェラーリ)にも同様の症状が発生した。
失速したハミルトンは後続マシンに次々と追い越され、バックストレートで停止を余儀なくされた。走行不能となったハミルトンに対し、チームからは「ソフトウェアの問題であり、解決に取り組んでいる」と無線で伝えられた。
一方、フェルスタッペンには、同様のトラブルを避けるため、エンジンの回転数を高く維持するようチームから指示が飛んだ。
さらにガブリエル・ボルトレート(アウディ)を含む他のドライバーにも同様のトラブルがみられ、コース上で複数のマシンが立ち往生したことから、レースコントロールはスタート手順を中断して赤旗を提示した。
新世代PUと低速走行の影響か
今回のトラブルの原因は明らかではなく、すべてのマシンで原因が同じであると断定することもできないが、ウエットコンディションに伴う低速走行を背景とした、2026年導入の新世代パワーユニット(PU)に起因する技術的な問題である可能性が考えられる。
2026年の新規則では熱エネルギー回生システム(MGU-H)が廃止されたため、ターボチャージャーをアシストする仕組みが失われた。そのためエンジンが低回転の状態ではターボが十分に機能せず、この状況でスロットルを踏み込むと、ドライバーが要求するトルクを発生させようとシステム側が電動エネルギーを過剰に使用し、バッテリーが急速に枯渇する。
バッテリーが底をつくと内燃エンジン(ICE)のみに頼ることになるが、ターボが十分に稼働していない状態では要求されたパワーを出力できない。その結果、加速できなくなり、さらに状況が悪化するという悪循環に陥ることになる。
再開時のグリッド順に波紋も
レースコントロールは、現地時間16時33分、日本時間17時33分にレースを再開する方針を示しており、当初のグリッド順が用いられる見通しだ。だが、フォーメーションラップ中に多数のマシンが失速して順位が大きく入れ替わったため、この方針は物議を醸す可能性がある。
規則上、グリッド上で動けなくなったり、追加のフォーメーションラップを引き起こしたりしてピットレーンへ退避したマシンは、トラブルを修復して出走できる状態になったとしても、元のグリッド位置に戻ることはできず、ピットレーン最後尾からスタートしなければならないためだ。