2018年F1ロシアGP決勝レース開始直後にホームストレートから1コーナーに侵入するF1マシン
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ロシア政府、国産F1マシンの製造に前向き…2024年を目処に新規参入を目指す

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ロシア政府が国産のF1チームを創設し、10年以内にF1世界選手権に参戦する方向で調整を進めている事が明らかとなった。最短で6シーズン後の2024年での参戦を目指している。

2010年にヴィタリー・ペトロフがロシア出身のレーシングドライバーとして初めてF1にデビューして以降、欧州を本拠地とするフォーミュラ1には多くのロシアンマネーとドライバー達が流れ込んでいる。

近年では、ロシア国内のSMP銀行の全面的な支援を背景に、セルゲイ・シロトキンが多額の資金を持ち込み名門ウィリアムズからF1デビュー。ルノー・スポールのテスト兼開発ドライバーを務めるアルテム・マルケロフや、フォース・インディアのテストドライバー、ニキータ・マゼピン、そして来季トロロッソ・ホンダからF1に復帰するダニール・クビアト等、ロシア人ドライバーの存在感は年々増しつつある。

9月30日に決勝レースが開催された2018シーズン第16戦ロシアGPの会場ソチ・オートドロームに姿を見せたドミトリー・コザク副首相はタス通信に対し、グランプリ会場内でF1チームとの話し合いの場を持った事を明かし、ロシア製F1マシンの製造に強い意欲を示した。

「我々は自動車メーカーとの話し合いを行った。ロシア産のF1レーシングカーを作るべきだ。2024年までに実現する計画について話をしたが、それまでに達成できるとは考えていない。ただ、10年以内には実現する事ができるだろう」

「ロシアには多数のモータースポーツファンがおり、それと同時にF1チームの創設に対して投資を希望する裕福なビジネスマンがいる事も承知している。実現を心待ちにしようではないか」

ソチのパドックに姿を見せたF1の前CEOバーニー・エクレストンは、「ロシア人ドライバーが増えてきている事は素晴らしい事だ。ロシアチームが誕生する事を祈ってるよ。そうなればより素晴らしい」と語り、肯定的な見解を示した。

その一方で、SMPのレーシングプログラム及びSMP銀行の創設者兼代表のボリス・ローテンベルクは、「成功するかどうかは多くの要素に依存している。現時点では実現するとは考えていない」と述べ、否定的な考えを示した。

ロシア系チームはこれ迄に何度かF1への参戦を果たしているが、いずれも短期的に姿を消している。2005年には、ロシア生まれのユダヤ系カナダ人、アレックス・シュナイダーがジョーダンを買収し参入。だが、2年を待たずしてスパイカーに買収された。

2012年にはマルシャ・ヴァージン・レーシング改め、マルシャF1チームが誕生。2014年までの3年間に渡って参戦したものの、戦闘力不足と資金難に悩まされ、目立った成果を上げることなく消滅している。

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