ピット指示を無視していたハミルトン、歴史的100勝目は”断固たる”ストラテジストのおかげ
F1第15戦ロシアGPでのルイス・ハミルトン(メルセデス)によるF1史上初の3桁勝利は、頑として譲らない毅然とした態度のストラテジストなくしては叶わなかったようだ。
ハミルトンは最終盤の雨に際し、残り4周というタイミングでインターミディエイトタイヤに交換。スリックのままステイアウトして制御不能に陥ったランド・ノリス(マクラーレン)を交わして逆転の通算100勝目を挙げた。
コースの半分以上がドライであったため、ハミルトンは48周目にピットに入るようチームから指示されたものの、これを無視してラップを重ねた。
だが、ピットウォールから「雨脚が強まるから」と強く諭され、49周目にピットストップを消化。これが逆転勝利の直接要因となった。
レース後ハミルトンは「あの素晴らしい判断は僕の手柄じゃないんだ。あれはチームによるものなんだ」と説明した。
「最終盤はターン5と7が少し滑りやすくなっていたけど、それ以外の場所はどこもグリップが良かったんだ。そんな最中にランドがターン5でコースオフしたもんだから『良し!ステイアウトだ!また同じ事が起こるかもしれない。彼を追い詰めてやる』って思ってね」
「その後でチームからコールがあって『嫌だ、だって彼(ノリス)はすぐ目の前にいるんだから!』って無視してしまったんだ」
「(ピットに入った場合)彼を捕まえるためには残された3周(※5周の誤り?)で24秒を縮めなきゃならないわけで、そんなの無理だって思ってね」
メルセデスのトト・ウォルフ代表は歴史的100勝目の背景に、”断固”とした姿勢でピットストップを進言したストラテジストの存在があったと説明した。
「天候が大きく動く事は分かっていた。だからバルテリ(ボッタス)は前の周にピットインしたのだ。我々の天気予報ガエルとストラテジスト達は、断固としてピットストップを行うべきだと考えていた」
ノリスもまた、ハミルトンと同じようにステイアウトが最適解だと考えていたが、こちらはチームからのピットストップの指示はなく、これが明暗を分けた。
トト・ウォルフはマクラーレンについて、ピットストップを行うか否かの判断は後方にいた自分達の方が容易だったと語った。
「この決定を下すのがマクラーレンにとって如何に難しいのか私には理解できる。ラップリーダーとしては負ける他になかった。そして今日、我々はその恩恵を受けたのだ」