チームメンバーと2位表彰台を喜ぶアストンマーチンのセバスチャン・ベッテル、2021年6月6日F1アゼルバイジャンGPにてCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

何よりもセバスチャン・ベッテルの復活を喜ぶロス・ブラウン「アストンマーチンとの契約に”不安”を感じていた」

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F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは、第6戦アゼルバイジャンGPの個人的な”ドライバー・オブ・ザ・デイ”に、レースを圧勝しかけていたマックス・フェルスタッペンでも、6番グリッドから2勝目を挙げたセルジオ・ペレスでもなく、セバスチャン・ベッテルを選んだ。

首位を快走するフェルスタッペンのタイヤブローと、これに続くルイス・ハミルトンの”マジック・オーバーラン”。バクーの魔物は今年も顕在で、残り5周はパドック全体が歓声と悲鳴と相互に繰り返すような文字通りの劇的展開となった。

世界中のF1ファンはこの日のドライバー・オブ・ザ・デイに、11番手から2位表彰台に上がる活躍を見せたベッテルを選んだ。41.9%という圧倒的な得票率だった。ロス・ブラウンもF1ファンと同じ見解だった。

「マックスは非常に素晴らしい仕事をしていたし、責めを負うような点は何もなかった。あれは究極的な不運だった」とロス・ブラウンはレースを振り返った。

「そしてセルジオもセンセーショナルだったが、私にとってのドライバー・オブ・ザ・デイは僅差ではあるが、第2の人生を歩んでいるセブだった」

ベッテルがアストンマーチン移籍を決断した際、懐疑的な声は少なくなかった。ベッテルをF1へと導き、育て上げたレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、フェラーリのシートを失ったかつての教え子に対して1年休暇を取るようアドバイスしたが、ベッテルはステアリングを握る方を選んだ。

そして迎えた2021シーズン。序盤数戦を見る限り、ヘルムート・マルコのアドバイスは的を得たものであったように見えた。

ロス・ブラウンもまたベッテルのアストン入りを不安視していたというが、バクーでの1戦を経てその見方は変わったようだ。かつてのフェラーリ指揮官は、跳馬時代とは異なり今のベッテルは精神的に安定した状態にあると考えている。

「過去数シーズンに渡って厳しい状況に置かれていたセブが、こうして勢いを取り戻す姿が見れて心から嬉しい」とロス・ブラウンは語る。

「私もまた、彼がアストンと契約した事に不安を感じていた一人だったが、彼の走りと今日の結果を見る限り、これは素晴らしい決断だったと言えるだろう」

「彼は生まれ変わった。リフレッシュした。彼には以前と異なる雰囲気がある。これは、心理的な側面が如何にパフォーマンスに影響を与えるかを示していると思う」

「セブは、あるべき種類のプレッシャーと、彼との仕事のスタイルを学ぼうとしているエンジニア達のおかげで、以前よりも快適な場所に身を置く事ができた」

「彼は結果を出しているし、それに値する男だ。ブラボーだよ」

1959年から60年にかけての”アストンマーティンF1第一期”における最高位は6位であり、この日のベッテルが果たした11番手から2位フィニッシュは、アストン史上最高成績を更新する事となった。

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