レッドブル・レーシングの2022年F1マシン「RB18」のリバリー発表イベント (5)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

想像以上に何も明かさなかったレッドブルF1、FIAモデルと瓜二つな「RB18」

  • Published:

広く予想されていた事とは言え、レッドブル・レーシングは想像以上に何も明かさなかった。9日に発表された2022年型F1マシン「RB18」のショーカーは、昨年発表された国際自動車連盟(FIA)のそれに酷似している。

今季のグリッドにつく10チームにとって、複雑なエアロを廃し、グランドエフェクト効果の引き上げを主眼とする新たな技術規定の解釈は、シーズンリザルトに直結し得る大きなファクターだ。プレシーズンテストやバーレーンでの3月の開幕を前にこれをライバルに悟られるわけにはいかない。

そうは言ってもレッドブルに先んじて新車「VF-22」のリバリーを公開したハースは、開発途上段階のレンダリングを通してそれなりに独自の要素を披露した。

だが、ドライバーズ・チャンピオンシップでの2連覇、そして2013年以来となるコンストラクターズ選手権制覇を目指すミルトンキーンズのチームは、ローンチイベントで殆ど何も明かさなかった。

レッドブル・レーシングの2022年F1マシン「RB18」のリバリー発表イベント (6)Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・レーシングの2022年F1マシン「RB18」のリバリー発表イベント (6)

2022年型F1マシンの実物大モデルの全景、2021年7月15日F1イギリスGPの舞台シルバーストン・サーキットのコース上にて (5)Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2022年型F1マシンの実物大モデルの全景、2021年7月15日F1イギリスGPの舞台シルバーストン・サーキットのコース上にて (5)

お披露目されたRB18のショーカーは、フロントウイングが4つではなく3つのエレメントで構成されており非常にシンプルな印象を受ける。またノーズも若干スリムでサイドポッドの形状も僅かに異るものの、全体的な印象はFIAモデルそのままだ。

レッドブルは伝統的に、エイドリアン・ニューウェイ率いるテクニカルチームが作り上げたマシンの中で特に重要な空力エリアのディテールを画像操作によって覆い隠してきただけに、このショーカーが、FIAが所持する幾つかモデルの中から借り受けてきたものだとしても驚くには値しない。

そもそも今回のイベントはライブで行われたものではなかった。予め撮影された動画をストリーミングしただけのものだった。つまりメディアはイベントに立ち会っておらず、従ってチームは記者からの質問に答える必要すらなかった。質問されれば何かしらの答えを返さなければならないが、質問の場がなければそんな義務も発生せず、全てを秘密裏のままにしておく事ができる。

今回のイベントはRB18のお披露目ではなく、リバリーの公開を通してオラクルのタイトルスポンサー就任を広く告知する事が目的であったと言うべきだろう。

チーム代表のクリスチャン・ホーナーはイベントでのショーカーについて詳細こそ明かしていないものの「初戦を迎えるまでに、マシンはこのような見た目ではなくなるだろう」と明かした。

「このクルマはプロトタイプであり、基本的にレース毎に変化していく事になる。おそらく同じ構成で2度走る事はないだろう。進化し続ける事になる」

「レギュレーションが新しくなった事で、クルマは非常に速いスピードで進化していくだろうし、シーズンを経る毎に進化のスピードは更に高まっていくと思う」

ホーナーはこの日明かされる事がなかった新車について「シーズンに向けて良いクルマを用意できたと信じている」としながらも、最終的には開発競争が勝敗を分ける事になるだろうと付け加えた。

チームが目指すのは、2023年もマックス・フェルスタッペンのマシンに車番「1」を掲げる事だ。若きオランダ人ドライバーは2013年のセバスチャン・ベッテル以来初めて、”ナンバー1”のデカールを配したマシンのステアリングを握る。

「マックスのタイトル防衛を達成させ、ナンバー1をキープするのが今年の課題だ」とホーナーは語る。

「昨年の興奮と懸命な仕事ぶりがチームにとって刺激になっている。我々は最高の状態で2022年シーズンに臨む事になる」