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フェラーリ、ライコネン放出を決定?去就注目のアイスマンに新たな不安材料が発生

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ライコネンが今季限りでフェラーリを去る可能性が高まってきたと言えそうだ。ライコネンとチームとの関係に疑問符がついたモナコGP直後の5月31日、スクーデリア・フェラーリはサードドライバーのアントニオ・ジョビナッツィをハースで走らせる事を発表した。ジョビナッツィは今後7つのグランプリでFP1を走行する。参考:ジョビナッツィ、F1イギリスGPを含む全7グランプリのFP1をハースから出走

ジョビナッツィはフェラーリの本拠地であるイタリア出身のドライバーであり、開幕戦オーストラリアと第2戦中国の2つのレースをザウバーから出走している。経験に乏しいジョビナッツィを、フェラーリがいきなりレースドライバーとして迎え入れる事は考えにくいものの、チームがジョビナッツィの育成に本腰を入れ初めたのは明らかだ。今回の発表は、マラネロのドライバー人事に動きがあった事を示唆している。ドライバー人事は、レースドライバーの動向とは無縁ではない。

フェラーリ内での立場に暗雲

第6戦F1モナコGPでポールを取り、翌日の決勝でも1コーナーを一番最初に駆け抜けたライコネン。フェラーリ陣営は2番手を走行していたセバスチャン・ベッテルではなく、ライコネンを先にピットに入れることを決定、これによりトラフィックに道を塞がれたライコネンはベッテルにオーバーカットを許してしまった。結果ベッテルが優勝、険しい表情のライコネンは「2位は望んでいない」と語り、チームの決断に暗に不満を示した。参考:チームの決断に不満表すライコネン

抜けないモナコではトラックポジションが重視されるため、後続のライバルマシンが動かない限り先にピットに入ることは一般的とは言い難い。ピットインを指示された時、ライコネンはその判断に納得のいかない様子をみせていた。

40周目にライコネンの前に出たベッテル
©F1 ライコネンをオーバーカットしたベッテル

フェラーリのこの判断は事実上の”チームオーダー”であるとの見方も多い。当然のことながら、チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネはこれを否定しているが、メルセデスのルイス・ハミルトンは、フェラーリがベッテルをナンバーワン・ドライバーとして優遇したのは間違いないと主張する。

「フェラーリが”ナンバー1ドライバー”を優先したのは明らかだ。彼らはセバスチャンが週末の全てを最大限に推し進められるように動いていた」via : motorsport.com

実際に何が起こったのかについては、フェラーリの上層部以外は知り得ない。この後味の悪いレースの僅か3日後、ジョビナッツィ出走の件が発表された。

理想的とは言えないボスとの関係

モナコ同様に、チームの戦略がライコネンを不利な立場に追い込んだ第二戦中国GPの後、フェラーリ会長のセルジオ・マルキオンネは英Skyに対し「我々はキミと話し合う必要があるようだ。彼は集中していないように見えた」と語った。ライコネンは戦略のみならず、エンジンに問題を抱えたままの走行を余儀なくされており、これに公然と不満を表していた。

フェラーリのボスは、傍から見れば”不運”と思われる状況の中での戦いを強いられたライコネンを「集中していない」と一蹴する。両者は否定するものの、絶対的権限を握るマルキオンネとライコネンとの関係は、あまり良いものとは言い難い。

ライコネン放出を示唆する悪いニュース

ハミルトンが「ベッテルがナンバーワン・ドライバー」と公言し、ライコネンとチームとの関係に注目が集まったモナコGP直後に発表されたジョビナッツィのFP1起用。一部では、ライコネンの後任としてダニエル・リカルドやセルジオ・ペレスの名が浮上している。

ドライバー人事に何らかの動きがあった可能性は高いものの、それがライコネンの放出を意味しているのか、ジョビナッツィの昇格を意味しているのか、はたまた噂のアルファロメオのF1参戦を意味しているのかは定かでない。確かな事は、ライコネン放出を示唆する状況が増えつつある、という事と、ジョビナッツィ出走の件がライコネンにプラスに作用する事はない、という事だ。

ライコネンは昨年7月に一年の延長契約にサインしているものの、その契約は今シーズン限りで切れる見込みとなっている。一方のセバスチャン・ベッテルは18年末までの契約を締結している。ポールを獲得しフェラーリのワン・ツーに貢献したにも関わらず、ライコネンのF1での将来を巡る状況は悪化してきているように思われる。