セルジオ・ペレス、シンガポールでの今季2勝目が”特別”なのはF1メディア報道が背景にあると説明
5月のモナコに続き、同じく屈指の難コースであるマリーナベイ市街地コースでのレースを制したセルジオ・ペレス(レッドブル)は、今回の勝利が「本当に特別」だと感じる背景に、最近のF1メディアの報道が関係しているのだと明かした。
ペレスは初のタイトル獲得を胸に2022年シーズンを力強くスタートしたものの、RB18はマシン開発によってリアの不安定さが増える方向へと進んでいき、シーズン中盤以降は僚友マックス・フェルスタッペンに対して明らかな差をつけられてきた。
だが、キャリアを通して生粋の”ストリートファイター”であり続けたペレスは、シンガポールGPで予選2番手を獲得するとレース1周目にトップに立ち、トリッキーなコンディションの中で見事なドライビングを披露。一度もトップを譲ることなく今季2勝目を挙げた。
2011年のセバスチャン・ベッテル以来初めて、同じ年にモナコとシンガポールの両ストリートレースを制したペレスは、F1メディアが最近のレースにおける自身の “荒れ模様 “を実際よりも「遥かに大きな」問題に仕立て上げてきたと主張し、それが彼の国籍に関係している可能性があるとさえ示唆した。
「超ハッピーだよ。ここ数戦はちょっと荒れ模様だったから、この勝利は本当に特別だ」とペレス。
「つまり、F1のメディアは兎に角、とんでもなく大きく取り上げるからね。僕がメキシコ人だからなのか、2戦連続で表彰台を逃すと僕が最悪のシーズンを過ごしているとか、レッドブルは僕を降ろすべきだとか、そういう事を言われてしまうんだ」
「だから、こうして勝ち取れて良かった。僕の実力を改めてリマインドするものじゃないけど、こういうパフォーマンスを発揮できるのはいつだって良いものだ」
「これからも同じようにやっていくだけだし、兎に角、僕らは一生懸命に頑張り続けてきたんだ」
この日のレースはウェットからドライへと移り変わる難しいコンディションの中、6台がチェッカーフラッグを受けることなく消え去り、4度に渡ってセーフティーカー(VSC含む)が導入される過酷なものだった。
ペレスはこの日の勝利が自身にとってのF1での「ベストパフォーマンス」だったと認め、これを以て自らを批判する者に明確なメッセージを送ったと考えているようだ。
「確かに、僕のベストだった。最高のパフォーマンスだった」とペレスは語る。
「タイヤのウォームアップは本当に難しかったけど、レースをコントロールできた。最後の数周は凄くキツかった」
「ステアリングを握っていた時はあまり感じなかったんだけど、クルマから降りたらその事を実感した」
「今日は勝利のために全てをなげうったよ」
レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表はペレスを「ワールドクラス」と評してその活躍を称えた。
「今日のチェコはワールドクラスだった。まさに彼のベストドライブの一つと言える。終始戦い続け、様々な困難に直面しながらもトップに立ち続けてみせた」
ペレスが勝利を収めた事で、僚友フェルスタッペンの戴冠がほぼ確実なドライバーズ・チャンピオンシップは、鈴鹿での次戦F1日本GP以降に持ち越される事となった。
「マックス(フェルスタッペン)にとっても、チームにとっても、日本でチャンピオンを獲得した方が素晴らしいだろうと思う。ホンダにとっても凄く特別なことだろうしね。だから、全体としては本当に素晴らしい1日になったと思う」とペレスは付け加えた。