アレックス・パロウ、2025年アウディF1候補の憶測にコメント
ザウバー/アウディの2025年のF1シートに関わる憶測について、チップ・ガナッシ・レーシング(CGR)からインディカー・シリーズに参戦するアレックス・パロウは「でたらめ」であると主張した。
今年4月に複数年契約が発表されたニコ・ヒュルケンベルグの2025年以降のチームメイトについては未だ明らかにされておらず、2度のインディカーチャンピオンは候補の一人として取り沙汰されているが、米インディスターとのインタビューで当人は、交渉の事実はないと否定した。
一部報道について「全部でたらめだよ。僕の言葉を信じられないかもしれないけど、約束する。すべてでたらめだ」とパロウは語り、自身のみならずマネージャーのロジャー安川氏を含めてザウバー/アウディの経営陣とは接触していないと主張した。
「アウディとは全く連絡を取っていない。ゼロだ」
「多くを語るつもりはないけど、F1に行こうとはしていない。前に試してみて、少し味わってみたけど、それは楽しかったし学ぶこともあった。でも実現しなかったから、それで満足している」
「ニュースをチェックして『僕らは連絡を取っていないけど、話せるかな?』なんてメールを(アウディに)送るほど必死になってはいない。僕は満足している」
これまでの混沌としたキャリア騒動を踏まえれば、「信じてもらえないかもしれないけど、本当に何もない」とパロウが懸命に主張するのも無理はない。
2022年7月12日、CGRが2023年シーズンに向けてパロウとの契約延長を発表した直後、パロウはSNSを通して、リリースに掲載された自身のコメントはチームが無断で作成したものであるなどとして、この発表を否定するとともに、同年末を以てチームを離れ、マクラーレンに移籍する意向を事前にチームに伝えていたとも説明した。
その直後、マクラーレンはパロウが2023年の契約にサインしたと発表し、合わせて2020年型F1マシン「MCL35M」でのテストプログラムを担当すると明らかにした。
これに対してCGRは7月25日、インディアナ州でパロウに対する民事訴訟を起こした。最終的には9月14日にすべての当事者間で合意が成立し、パロウは2023年もCGRに留まりながら、「MCL35M」を使ったマクラーレンのF1テストプログラムを担当することになった。
パロウはその後、マクラーレンとの間で2024年からの3年契約に合意したが、一方的に破棄したことで2023年8月に再び裁判沙汰となった。パロウからの契約不履行の意思通告を受けマクラーレンは、2,200万ドル(後に3,000万ドル以上に増加)の損害賠償を求めてイギリスの商事裁判所に訴訟した。
パロウは、マクラーレンとの契約を通してF1のシートを獲得できる望みがなくなった、チャンスを待ち続けるには自身が年を取り過ぎていると説明し、マクラーレンとの契約に違反したことを認めているが、賠償金額については意見を対立させている。
争点となっているのは、パロウの契約不履行によりマクラーレン側に生じた損害の見積もりだ。
マクラーレン側は、パロウの長期確保が叶わなくなったことでスポンサーに対してチームの安定性を示さなければならず、パトリシオ・オワードの契約期間を拡大した結果、より高額な給与を支払わなければならなくなったと主張するとともに、NTTとの契約に伴うスポンサー料の減少、そしてエンジンサプライヤーのシボレー/GMからの支払金額の減少を訴えている。
アウディとの接触の事実はないとの主張にかかわらず、契約的にはパロウのF1転向を妨げるものはないと見られる。
マクラーレンとの訴訟の過程においてパロウ陣営は、2025年以降のフルタイムF1シートを獲得する上で障害はないと主張し、F1への転向に関する解除条項がCGRとの現行契約に含まれている可能性を示唆している。