フェルスタッペンが「謝罪する必要はない」とノリス、事故から4日を経て考え改める
劇的な接触事故から4日を経てランド・ノリス(マクラーレン)は、一件の直後は「過剰反応」してしまったとして、当事者同士で話し合い、考え方を改め、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が謝罪する必要はないと語った。
優勝争いから一転、接触によりリタイヤを余儀なくされたF1オーストリアGPでのレースを終えてノリスは、フェルスタッペンを「無謀で必死で愚か」と評し、責任を認めて謝罪するよう要求していた。
謝罪は不要
しかしながらF1イギリスGPの開幕を前にノリスは、フェルスタッペンから謝罪はあったか?との質問に対して、その場の感情に振り回されて発言してしまったと振り返り、冷静になって一件を見直した結果、謝罪は不要との考えに至ったと明かした。
「レース後の会見の場でのコメントの幾つかは、その時に苛立っていてつい口にしてしまったものだった。アドレナリンが大量に出て、感情が高ぶっていたんだ。特に週の後半には思ってもみないことを言ってしまったかもしれない」
「結果的に双方のレースが台無しになってしまったという意味では、本当に情けない出来事だったと思う」
「確かに接触はしたけど、ごくわずかな接触だった。でも、自分にとっては特にだけど、お互いにとってかなり酷い結果になってしまった」
「彼に謝ってもらう必要はないし、謝罪を期待しているわけでもないし、謝罪すべきだとも思わない」
「時に限界ギリギリではあったけど良いレースだったと思うし、そのことについては話し合ったし、またレースができることをお互い嬉しく思っている」
経験不足と見通しの甘さ
ノリスは、フェルスタッペンとの競り合いを通じて、トップの争い方という点で自身に足らないものがあったとも認め、以降は今回の経験を活かしてさらに良いレースをするつもりだと説明した。
「一件については何度か見直して多くを学んだ。 予想していたことや、分かっていたことも多かったけど、やっぱり違った。トップでの戦い方は、もっと後方を争っていた昨年までの戦い方とは違う」
「それにマックスは他の多くのドライバーとは違うレースの戦い方をしている。彼がチャンピオンになった理由の一部はそれだ」
「でも総じて言えば、それについては見直したし、今週末またレースができることを楽しみにしている。もっと良い仕事ができるよう頑張るよ」
フェルスタッペンのレーススタイルが他と違うというのは具体的に何が違うのだろうか?
この点について説明するよう求められたノリスは、「テレビで見る通り」であるとして詳細には踏み込まず、それは「厳しく限界ギリギリ」であり「僕らが愛しているもので、僕が愛しているものだ」と答えるに留めた。
制動中の動き、ルール改善を提言
接触に至るまでの道程でノリスは、フェルスタッペンがブレーキング中に進路を変えたとして無線を通して何度か不満をあらわにしていた。レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはこれを「情けない」と評した。
ノリスは、接触直前にフェルスタッペンがラインを変えたのは「明らかだった」としつつも、自身にも接触を避けるために取れる手段があったと認めた。
また同時に、こうした動きは大事故に繋がる可能性があるとして、FIAは今後に向けてブレーキング中のクルマの動きに関するルールを改善すべきだと提言した。
「これは難しい問題だ。マックスだってクラッシュしたくはないだろうし、自分のレースやチャンスを台無しにしたくないはずだ」とノリスは語る。
「僕としても少し違った方法を取るべきだったことは確かだ。でも結局のところ、彼はあまり変わることはないだろうし、僕もあまり変わる必要はないと思う」
「お互いにもっと上手くやれる部分はあったと思うけど、概して言えば、ブレーキング時の動きから生じうる事故を避けることが何よりも重要だと思う」
「これは今後に向けての課題だけど、スチュワードやFIAもそれを認識しておく必要があると思う。容易に間違ったことが起きてしまう可能性があるからね」
「ある程度まではアグレッシブにディフェンスしても問題ないけど、それでも限界はあるわけで、もう少し良い方法でその限界を定義する必要があると思う」
またシルバーストン・サーキットで行われる今週末については「僕らは好調だ。ここ数戦でかなり接近している。でもメルセデスもどんどん近づいてきている。先週末のレースでメルセデスは最も速いクルマの一つだった。確実に進歩している。僕ら同様にレッドブルも良い位置にいると思う。だから多くが絡む接戦になると思う」と語った。