鈴鹿サーキットのホームストレートを走るF1マシン、2017年F1日本GP
Courtesy Of Andy Hone/LAT Images

下剋上は望めない?「2019年のF1レギュレーションに大きな”抜け穴”はない」と技術首脳陣

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接近戦を容易にすべく、2019シーズンのF1ではテクニカルレギュレーションが大きく改定される。F1においてはドライバーの腕よりもマシン性能の方が結果大きな影響を与えるため、技術規約の変更は、劣勢を強いられていたチームがゲームの主導権を握る数少ないチャンスとなり得る。

各チームの開発部門はライバルを出し抜くべく、ルールの”抜け穴”を探し出そうとする。2009年にチャンピオンシップを制したブラウンGPは、規約の抜け道を見つけ出しダブル・ディフューザーを考案。空力レギュレーションの改訂を味方につけて勢力図を一変させた。

だがウィリアムズの最高技術責任者を務めるパディー・ロウは、今年のルールブックはかなり厳格であり、2019年のF1世界選手権でグレーゾーンが見つけ出される可能性は極めて少ないとの考えを示す。

「今年のレギュレーションから抜け穴を探すのはかなり厳しい。他のチームも同じ様に思っていると良いのだが、我々はフロントウィングからパフォーマンスを引き出す事に苦労している」

近年のF1マシンは後方乱気流が酷く、後続車両が前を行くマシンを追従するのが難しい。この傾向は2017年の”ワイド&ロー”化によってより顕著となった。これに対処すべくF1とFIA国際自動車連盟は、フロントウイング、バージボード、リアウィングを中心にエアロダイナミクスを大きく制限。2019年はマシンから複雑な空力パーツが取り除かれる。

2019年F1のレギュレーションによるフロントウイングの変化

2019年F1のレギュレーションによるリアウイングの変化

フォース・インディアから生まれ変わったレーシングポイントF1チームのテクニカル・ディレクターを務めるアンドリュー・グリーンもパディー・ロウの意見に同意。英Autosportのインタビューの中で、冬の間にライバルが大きく前進しない事を祈っていると語った。

「願わくば、このレギュレーションが誰にとっても同じ意味を持っていると良いのだが。小さなものはあるかもしれないが、大きな抜け穴はない。探求する甲斐があるような大規模なグレーゾーンがない事を祈ってる」

パドックで10人しか存在しない技術部門のトップはこのように主張するものの、仮に抜け穴を見つけていたとしても「見つけちゃいました!」とは言えないわけであって、ここはやはり、メルボルンでチェッカーフラッグが振られるまでは「抜け穴」の存在を期待したいところである。

2019年レギュレーション変更点