キャリア初のポールポジションを獲得してガッツポーズを取るフェラーリのシャルル・ルクレール、2021年5月22日F1モナコGP予選にて
Courtesy Of Ferrari S.p.A.

ルクレール、1936年ルイ・シロン以来のモナコ母国ポールシッターとなるも「次戦以降は元の木阿弥だと思う」

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スクーデリア・フェラーリのシャルル・ルクレールは5月22日のF1モナコGP公式予選で1分10秒346のトップタイムを刻み、キャリア初となる母国レースでのポールポジションを獲得した。

モナコ人ドライバーがモナコGPでポールポジションを獲得したのは1936年のルイ・シロン以来初めてで、85年ぶりの出来事だった。ルイ・シロンは1929年の第1回モナコGPを開催に導いた立役者の一人として知られる。

キャリア初のモナコポールは劇的な結末の末の結果だった。ルクレールは最終Q3の最終アタックでSF21をバリアに激突させてしまい、セッションは赤旗終了という煮え切らない形での幕引きとなった。

クルマは大きなダメージを負った。仮にモノコックやギアボックス交換が必要になればルクレールには降格ペナルティが科せられる事になる。予選を振り返ったルクレールは、降格の可能性を考えると複雑な心境だと認めた。

「ウォールでフィニッシュしてしまったのは残念だよ」とルクレール。

「明日はどこからスタートするか分からない。クルマのダメージにも依るけど、最後尾スタートにならない事を心底願うばかりだ。それを除けば、クラッシュの前の自分の走りには本当に満足してる」

ルクレールは事故へと至った背景を次のように説明した。

「最後ラップの入りがあまり良くなかったから、最終セクターに向けて少し頑張りすぎてしまった。その結果、イン側のウォールに接触してそのままウォールに突っ込んでしまったんだ」

「こういう結果になってしまって残念だけど、セッション全体を上手くマネージするのが本当に大変だった」

「Q2を終えた時にポールポジション獲得のチャンスを実感してとても感情的になってしまったけど、自分自身を落ち着かせてQ3の最初のランで最高の走りをした。その後の顛末はご覧の通りだ」

予選ではレッドブル・ホンダやメルセデスといったライバルが一気にギアを上げてくると考えていたルクレールは、週末全体を通してフェラーリが高いアドバンテージを維持できるとは考えていなかった。

「本当に驚いたよ」とルクレール。

「確かに、バルセロナのセクター3では高い競争力があったけど、そうは言ってもここは全く違うコースだからね」

「レッドブルやメルセデスが幾らか隠し持っていると予想していたけど、結果的にはそういうわけじゃなかったみたいだ。でもポールポジションを狙えるとは思ってなかったから本当に驚きの結果だった」

とは言えルクレールは、モナコでの競争力が今後も続くとは考えておらず、次戦アゼルバイジャンGP以降は元の木阿弥になると覚悟している。

「僕らのクルマはバルセロナの時と同じなんだ。つまり、バルセロナでの位置が残りのシーズンにおける僕らの位置だとみなすべきなんだ」

「僕らのマシンは特に低速コーナーで高い競争力を発揮しているから、このコースと相性が良いだけで、次のレースからは以前の状態に戻っているはずだ」

ここは抜けないモンテカルロ。降格ペナルティさえなければルクレールが母国初勝利を挙げる確率は極めて高い。

「実際モナコでは、かなりの確率で(ポール・トゥ・ウインの)可能性がある事は分かってる」とルクレールは語る。

「無論、僕らが遅ければ後続の連中がアンダーカットやオーバーカットでプレッシャーをかけてくるだろうけど、今週末のように適度なペースがあれば、優勝の可能性は十分にあると思う」

「とは言え、僕はモナコで毎回不運に見舞われているから、落ち着かなきゃね。今はクルマのリアの具合が心配だ。大丈夫だと良いんだけど。見た目的には大丈夫そうに見えないけど、とくかく待ってみるよ」

チームは予選を終え、ルクレールのギアボックスの損傷の程度を確かめるべく確認検査を行い、初期検査の結果として「深刻なダメージはない」としたが、交換を行うか否かについては決勝当日の朝に更なるチェックを行った上で最終的な判断を下すとしている。


最速タイムホルダーが赤旗クラッシュを喫する劇的結末を迎えたモナコGP予選では、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールを獲得。2番手にマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、3番手にバルテリ・ボッタス(メルセデス)が続く結果となった。

2021年 F1モナコグランプリ決勝レースは、日本時間5月23日(日)22時にスタート。1周3340mのモンテカルロ市街地コースを78周する事でチャンピオンシップを争う。

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