突如真夜中に…”常軌を逸した”サンパウロの天候急変「こんなの初めて」F1ドライバー狼狽、屋根崩落事故も
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2023年のF1サンパウロGP予選はQ3最終盤に突如、嵐が到来し、日中にも関わらず一瞬にして真夜中のように暗くなり、赤旗のまま幕が下りるという異様な終わり方を迎えた。
グリッド争いそのものは終始、ドライコンディションで行われたが、Q3に先立ち上空半分ほどが漆黒に覆われた。灰色ではなく黒だった。フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)は「夜」と形容した。言い得て妙だった。
そして強風が吹き荒れ始める中で各ドライバーが1回目のラップを終えると、状況の悪化を受けレースコントロールは赤旗を出した。セッションが再開されることはなく、その後、雷と共に土砂降りがインテルラゴスを襲った。
最終コーナー脇のグランドスタンドの屋根が崩れ落ちる事件も起きた。付近にいたF1フォトグラファーのアンディ・ホーンは「なんと恐ろしい10分間だった事か!最終コーナーでグランドスタンドの屋根が崩落し、落ちてきた破片で生首になりかけた!」と呟いた。
What a scary 10 minutes on track! A grandstand roof collapsed at the last corner and nearly got decapitated by falling debris! #F1 #Formula1 #BrazilianGP pic.twitter.com/dWvkpgVweO
— Andy Hone (@andyhone) November 3, 2023
つまずいたりするなどして軽い怪我を負った者は何名かいるようだが、幸いにも観客の中に重傷者はいないと報告されている。
この異様なコンディションについて、今季11回目のポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は「常軌を逸していた」と表現した。
「ちょうどシャルル(ルクレール)と話してたんだけど、あれは酷かった。よく分からないけど、風向きが変わり、風そのものもかなり強くなったように思う。おかげで大幅にタイムを失ってしまった。最終ラップは本当に慌ただしかった」
「Q3に向けてピットレーンに並んだら、空が兎に角、真っ黒だったんだ。もしあの雨が降ったら、とんでもない事になるだろうなって思ったよ!」
「アウトラップの最初のセクターは大丈夫だったけど、残りは衝撃的だった! まだ降ってはいなかったんだけど、雨が近づくにつれて風がかなり強まってきて、ミドルセクターは追い風に変わり、クルマはそこら中で滑りまくっていた」
「無線を通して『一体どうなってるんだ? ここは一体、何処なんだ!』って叫びっぱなしだった。でもチームから、みんなが苦労してるんだからプッシュし続けろ、って言われてね」
「クルマのバランスにこれほど大きな影響を受けるなんて、こんなの初めてだよ」
Sexta-feira tranquila em Interlagos pic.twitter.com/m0I5S4QetF
— Lasanhas Culture (@lasanhasculture) November 3, 2023
フェルスタッペンから0.294秒遅れの2番手を刻んだシャルル・ルクレール(フェラーリ)も「こんな事は一度も経験した事がない」と述べ、「多分、僕のキャリアの中で一番奇妙なセッションだった。特に最後のラップはね」と振り返った。
「というか風向きの変化がとんでもなかったんだ。セクター2以降はグリップが全くなくて、本当に混乱してしまった。コーナーに向けて何処にバランスがあるのか全く分からなかったんだ」
「でも運が良いことに、多かれ少なかれ、まとめる事ができた」
「ラップの終盤に、これじゃ全然だめだ、間違いなく10番手だって思ったんだけど、実際には2番手で良かったよ」
Q1開始当初、路面温度は38.1℃、気温は31.7℃あったが、1時間足らずで各々27.6℃と24.7℃にまで急激に低下した。
大雨の影響でトップ3インタビューはグリッドではなく急遽、FIAガレージ内で行われる事となった。