F1マイアミGPにおけるメルセデスの好調要因はアプグレに非ず?
不振に喘ぎ続けていたメルセデスが復活の兆しを見せた。5月6日(金)に行われたF1第5戦マイアミGP初日2回目のプラクティスでジョージ・ラッセルはトップタイムを記録。ルイス・ハミルトンも4番手につけた。
英国ブラックリーのチームは過去の走行データが一切ないマイアミ・インターナショナル・オートドロームでの週末に、気流改善のための翼端板を含むフロントウイングと、低ドラッグ仕様の新たなリアウィング、そしてこれに合わせたビームウィングを持ち込んだ。
駄馬と揶揄されていたW13は改良型パーツを得て突如、優勝候補へと変貌したのだろうか?もしそうであれば今後に向けての期待できるという点でシルバーアローのファンにとっては嬉しいニュースだが、少なくともドライバー達は現時点でそうは考えていないようだ。
ハミルトンは初日を終えて「正直に言って、僕的には同じような感じだ。依然としてバランスに問題を抱えているのは明らかで、これはまだ修正できていない」と語った。
「でもタイム的には改善されているように見えるから、それが何処から来たのかよく分からないんだ」
ハミルトンとは異なるセットアップを使っていたラッセルは初日を総括して「今シーズンで最も生産的な1日」と評価しつつも、アップグレードの効果について問われると「正直なところ、分からない」と答えた。
好調の要因についてラッセルは、アップグレードではなく高温のコンディションにあると考えているようだ。
「週末前の段階から、今週末が僕ら向きだという事は分かっていた。僕らはこれまでタイヤのウォームアップに手こずってきた。路面が荒いバーレーンでさえね。でも今回は今季初の本格的に暑いレースが予想される」とラッセル。
「だから、そうした状況が大きな要因になっているのは確かだ。クルマは上手く機能しているけどまだ金曜日だし、あまり浮かれてはいられないけどね」
もう一つには路面がスムーズかつ高温となった事で、高速域で車高が下がる要因となる空気密度が減少すると共に、ポーパシングの起点となるバンプが減った事が挙げられる。ポーパシングが低減すれば、その分だけ車高を下げる事が可能になる。
ラッセルは「燃料を積んだ状態でのフィーリングは良くなかった」と認めた。重くなればその分だけフロアと路面との距離が接近するため車高を上げざるを得ない。
実際、赤旗の影響で限定的な結果しか得られていないが、ショートランとは異なり、ロングランペースでメルセデスはフェラーリとレッドブルに遅れを取っている。
なおエンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンはアップグレードについて「まだ評価中」として詳しい言及を避けたものの、「全体的にはある程度の進歩が見られた」「セットアップという観点で一日を通して各車両を比較した結果、まずは興味深い結果が得られた」とも語った。
「もう少し分析してから、明日に何を持ち越すかを決めたい」とショブリンは続ける。
「バランス面で解決すべき問題は多いし、タイヤのオーバーヒートも大きな問題だ。日中のセッションは本当に暑く、リアタイヤの温度をコントロールするのが難しい。このあたりを重点的に改善することになるだろう」
「だが最近の金曜日と比べれば、全体的には順調な滑り出しだと思う」
初日をトップで締め括ったのはジョージ・ラッセル(メルセデス)。2番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)をコンマ1秒差で退けた。3番手にはコンマ2秒遅れでセルジオ・ペレス(レッドブル)が続く結果となった。
F1マイアミグランプリ3回目のフリー走行は日本時間5月7日(土)26時から、公式予選は同29時から1時間に渡ってマイアミ・インターナショナル・オートドロームで開催される。