メルセデスW13の超小型サイドポッド、2022年F1バーレーンGPにて
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

新型サイドポッドの投入により悪化したメルセデスW13のポーパシング問題

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メルセデスの最高技術責任者を務めるジェームス・アリソンは、一部で”ゼロポッド”などと呼ばれる新型サイドポッドを含む空力アップグレードにより、W13が抱えるポーパシングが悪化した事を認めた。

開幕戦を前にバーレーンで行われた2回目のプレシーズンテストにシルバーアローが持ち込んだ革新的な空力パッケージはパドックの話題を独占した。あまりの変貌ぶりに、フロアやウイングのアップデートも相まって「W13B」との呼称も飛び交った。

2022年F1バルセロナテスト時とバーレーンテスト時のメルセデスW13のサイドポッド比較Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

2022年F1バルセロナテスト時とバーレーンテスト時のメルセデスW13のサイドポッド比較

サイドポッドを極限までコンパクトにまとめた新スペックのW13は、横長のワイドなラジエーター・インレットを持つフェラーリF1-75とは対極的であったが、それは外観に留まらずパフォーマンスにも及んだ。

苦戦の兆候は開幕戦の初日プラクティスの段階から表れていた。チームはポーパシング、あるいはバウンシングと呼ばれるグランドエフェクトカー特有の激しいピッチングを抑えるためにセットアップを妥協した。

ルイス・ハミルトンは予選でポールシッターのシャルル・ルクレール(フェラーリ)にコンマ6秒以上の大差をつけられ、決勝でも優勝争いの蚊帳の外に置かれた。フェラーリはレッドブルを凌ぐ支配的な速さをみせ、開幕1-2を飾ってみせた。

パフォーマンスを阻害した最大の要因はポーパシングだった。

アリソンはレース後のデブリーフィングの中で、冬季テストで初戦用のアップグレードパッケージを投入した際にポーパシングが「極端」に悪化したと説明し、如何に迅速にこれを解決できるかが「チャンピオンシップ争いの命運」を左右するとの考えを示した。

「コントロール不能なバウンシングという重大な問題を僅かでも制御するために、今はクルマの基本性能を妥協する手段を取っているが、これにより少しずつコントロールできるようになってきている」とアリソン。

「迅速に解決しなければならないという大きなプレッシャーが掛かる中、今後数週間はマシンの基本性能を犠牲にすることなくバウンシングを克服するための改善策を見つけ出していく事になる」

「願わくば、このクルマに備わる本来のポテンシャルを引き出していける事を願っている。そうすればグリッド最前列に戻れるはずだ」

メルセデスV6最強伝説は終わったのか?

シーズンは現時点で残り21戦が予定されている。後半戦を迎えて競争力を取り戻しても時遅し。コンストラクター9連覇の望みはない。問題はいつ決定的なソリューションを投入できるかだ。アリソンは今後2~3レース以内に解決できるよう取り組んでいくと説明した。

「確かにチャレンジングではあるが、実のところ冬のテストを終えて私はもっと悪い状況に陥る事を恐れていた」

「我々が初戦までに達成したパフォーマンスの改善は、おそらくファンの目には見えず、安心材料にはならないだろうが、チーム内に安心感を与えてくれるものだった」

「この問題に関してはできるだけ早く、できれば次の2~3レースの内に解決したいと思っているが、いずれにせよ、夢に掲げるチャンピオンシップでの成功を追求できるよう取り組んでいくつもりだ」