マクラーレンの大株主マンスール・オジェ
Courtesy Of McLaren

マクラーレン大株主マンスール・オジェ死去、享年68歳…ロン・デニスと共に名門チームを確立

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長年に渡って大株主としてマクラーレンF1チームを支えてきたマンスール・オジェが、F1第6戦アゼルバイジャンGP決勝当日を迎えた2021年6月6日朝、スイス・ジュネーブの自宅で亡くなった。享年68歳。

オジェの父アクラムが設立した投資会社TAGを通して、1979年にウィリアムズを支援する形でF1との関係をスタートさせると、「TAG Turbo Engines」を設立してポルシェ製のターボエンジンに資金を提供。マクラーレンとのパートナーシップを結んだ。

1983年のオランダGPでデビューした「ポルシェTAGエンジン」はその後、1987年までに表彰台54回、優勝25回、コンストラクターズタイトル2回、ドライバーズタイトル3回をマクラーレンにもたらした。

1984年にはニキ・ラウダとアラン・プロストが世界選手権を制覇。同年末、マンスール・オジェはマクラーレンの過半数の株式を取得し、名将ロン・デニスと共に名門チームとしてのマクラーレンを確立させていった。

ロン・デニスは2017年に全株式をマンスール・オジェとバーレーン王室の投資会社ムムタラカトに売却。マムタラカトが出資額を増やしていった事でオジェの持ち株比率は年々低下していったが、それでもなおマクラーレンの重要人物の一人であり続けた。

60歳を過ぎた頃に体調を壊し、2013年末にはIPF(特発性肺線維症)を患って両肺移植を受けた。その後、幸いにも快方に向かいマクラーレンでの仕事を続けていたが、昨年半ばにマクラーレン・グループの役員の座を息子サルタンに譲った。

ホンダF1、故オジェを哀悼

マクラーレンのザク・ブラウンCEOは訃報に際し、オジェの死はチームの「全員を打ちのめした」との声明を発表した。

「マンスールは40年近くにわたってこのチームの心と魂に刻み込まれ、その成功に欠かせない存在だった」

「彼はあらゆる意味で真のレーサーだった。決断力があり情熱的で、そして何よりもスポーツマンシップに溢れていた。どんなに激しい戦いにおいても、マンスールは常にスポーツを第一に考えていた」

「マンスールはこのスポーツの巨人でありながら、控えめで、気取らず、出会ったすべての人を魅了した。彼の穏やかな物腰、鋭いウィット、そして温かいユーモアは、彼を知る人々すべてに感動を与えた」

「彼のチームに対する愛情は誰の目にも明らかで、マクラーレンで働く我々に対して、逆境を跳ね返していくための方法を親身に示してくれた。印象的でありながら謙虚な、人間的な父親のような存在として、我々はマンスールのことを忘れる事はないだろう」

「彼は生前と同じように、今後もマクラーレン、そしてそれ以外のすべての人々にインスピレーションを与える存在であり続けるだろう。マンスールの遺産はチームに織り込まれており、永遠に続いていく」

「我々は彼が望んだように、これまで以上に強い決意を持って、彼の記憶と遺産を永遠に心にとどめながらレースを続けていく」

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