アイルトン・セナの名を冠する究極のマクラーレン、800馬力・1億1千万円の姿が明らかに

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マクラーレン・オートモーティブは、3度のF1ワールドチャンピオンであるアイルトン・セナの名を冠した究極のスーパーカー「マクラーレン・セナ(McLaren Senna)」のイメージ画像を初公開した。サーキット走行を最重視したこのロードカーは、2018年3月にジュネーブ・モーターショーで一般公開された後、秋にデリバリーとなる見込み。

世界限定500台のそのお値段はなんと75万ポンド、日本円にして約1億1,360万円だが既に完売済み。売上の一部は、アイルトンの姉ビビアン・セナが主催する非営利団体アイルトン・セナ研究所に寄付される。

ミッドシップに搭載される4リッターツインターボV型8気筒エンジンはマクラーレン史上最大となる800馬力、トルクは800Nmを誇る。駆動方式はRWD、トランスミッションには7速DCT。電動油圧式のステアリングは、正確かつダイレクトなフィードバックとインプットを実現する。

車体基礎となる”Monocage IIIシャシー”とボディパネルは共にカーボンファイバー製、同社公道モデル最強固のその車重は「McLaren F1」以来最も軽い1198kgとなっている。ブレーキにはカーボンセラミック、足元にはピレリとの共同開発から生まれた特注の「Pirelli P Zero™ Trofeo R」を履く。

ガルウイングをオープンしたマクラーレン・セナ
マクラーレン・セナの左リア後方からのイメージ
マクラーレン・セナ左サイド

公道仕様最強レースカーと銘打たれたこの車の一番の注目ポイントはエアロダイナミクス。サーキット走行を最重視するとの目標を掲げ、リアとフロントにアクセル開度に連動するアクティブエアロダイナミクスが採用される。コーナーやシケインの組み合わせで構成されるサーキットでのラップタイムの鍵はダウンフォース、前例ないレベルにまでこれを引き上げた。

アクティブエアロダイナミクスが採用されたリアウイング

セナの甥でレーシングドライバーのブルーノ・セナは「我々家族は、”マクラーレン・セナ”というネーミングを心から誇りに思っている。これはアイルトンのレース精神とパフォーマンスを体現する最初のプロジェクトだ」とコメント。ブルーノはマクラーレンのブランドアンバサダーを務めている。”寄付”という名目で財団に資金提供する見返りに、”セナ”の名を使うことを許可されたものと思われる。

CEOのマイク・フルーウィットは、マクラーレン・セナは比類なき車だと語る。「マクラーレンのモータースポーツにおけるDNAが具現化されており、公道での走行も可能だが、サーキットでの走行を念頭にデザイン・開発されました。アルティメットシリーズの今回の新モデルは、優れた性能を生み出すための妥協なき姿勢の現れです。ドライバーとマシンとの一体感を結実させるための工夫が凝らしてあり、サーキットにおける究極のドライビング・エクスペリエンスはマクラーレンならではと言えます」

マクラーレン・セナ左フロントホイール
ドア下部にゴリラガラスを採用することで、構造上の強度を確保しつつコックピットから路面が見えるようになっている。

マクラーレン・セナのコックピット

セナの名を取り入れるところを見る限り、本来であれば第二期マクラーレン・ホンダF1の成功とともに、大々的なお披露目とプロモーションが計画されていたのだろう。セナは生涯勝利数41の内35勝をマクラーレン・ホンダで挙げた。

だが、セナと共に20世紀のF1史に偉大な名を刻んだマクラーレン・ホンダは、2015年の復活以降一度たりとも表彰台に上がらぬまま今年限りで姿を消す。

マクラーレン・セナのリア姿
マクラーレン・セナの左リア後方からのイメージ
マクラーレン・セナの右フロントからのイメージ