
マクラーレン、土壇場で”オーダー方針”転換「使わないのは狂気の沙汰」とブラウン。最終戦アブダビGPでは躊躇せず
マクラーレン・レーシングのザク・ブラウンCEOは、今週末の2025年F1最終戦アブダビGPにおいて、ドライバーズタイトル獲得のために必要とあればチームオーダーの発動を躊躇しない姿勢を明らかにした。
ランド・ノリスは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)に12ポイント差、チームメイトのオスカー・ピアストリに19ポイント差をつけて日曜日の最終レースに挑む。
三つ巴の争いが続く中、ブラウンはフェルスタッペンにタイトルを奪われる展開を避けるため、特定の局面では順位操作も辞さない構えだ。
イギリスの衛星テレビ局『Sky Sports F1』の取材に応じたブラウンは、タイトルを狙えるのがどちらか一人に絞られた場合、チームオーダーを使わないのは「狂気の沙汰だ」と強い言葉で語った。
”パパイヤ”を捨て勝利至上主義に
Courtesy Of McLaren
FP1を前にパドックを移動するオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、2025年12月5日F1アブダビGP(ヤス・マリーナ・サーキット)
マクラーレンは今年、「パパイヤ・ルール」と称するチーム独自の競争方針を掲げ、ドライバー同士の自由で公平なレースを尊重してきた。だが、タイトルが懸かる最終戦に向けて方針を転換する。ブラウンは次のように断言する。
「もちろん、我々は現実的だ。ドライバーズチャンピオンシップを勝ち取りたい」
「予選がどうなるかも分からないし、信頼性という点でもどう転ぶか分からない。だが、レース中、片方にチャンスがあり、もう片方にないことが”明確”になり始めれば、我々はタイトルを獲るためにやるべきことをやる。そうしないなんて狂気の沙汰だ」
「3位と4位、あるいは6位と7位を守るためにチャンピオンシップを逃すつもりはない」
具体的に想定されるシナリオの一つは、フェルスタッペンが首位、ピアストリが3番手、ノリスが4番手の展開だ。このままではフェルスタッペンが逆転王者となるが、マクラーレン勢が順位を入れ替えればノリスが王座に届く。
ただし、このような状況下においても、チェッカーフラッグが下りるまで、さらに言えば国際自動車連盟(FIA)が正式結果を発表するまで、レース結果がどうなるかは分からない。ブラウンが言う「明確」の境目はつかみにくい。
かつてブラウンは「自由に戦わせた結果、フェルスタッペンが勝つのなら、それを受け入れる」と発言していた時期もあった。運命の最終戦を前に方針を転換した形だ。
一方、実際にコクピットに座るドライバーたちは、木曜日の時点でまだ具体的な協議はないと話していた。
ノリスはチームオーダーの可能性について「もしそうなれば個人的には歓迎だけど、自分から頼むつもりはない」と慎重な姿勢を示しつつも、「もし逆の立場なら、僕は譲ると思う」ともコメント。さらに、チームオーダーがなくフェルスタッペンに敗れたとしても、それを受け入れる覚悟を示していた。
Courtesy Of McLaren
FP1を前にガレージでリラックした様子を見せるランド・ノリス(マクラーレン)、2025年12月5日F1アブダビGP(ヤス・マリーナ・サーキット)
ラッセルらは猛反発「容認できない」
マクラーレンによるチームオーダーの可能性については、ライバルチームも注目している。
ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、タイトルを狙える状況にあるドライバーに順位の入れ替えを指示する行為について「容認できることじゃないし、合理的でもないと思う」と語ったうえで、もしチームオーダーを使わずマクラーレンが王座を逃しても「相手の方がいい仕事をした、それがレースだと言うべきだ。それがあるべき姿だよ」と、鋭い口調で反発した。
一方、『Sky Sports』で解説を務める元F1ドライバーのアンソニー・デビッドソンも「チームから頼まれる可能性はあるだろうが、もし僕がオスカーの立場なら絶対に譲らない。これはドライバーズチャンピオンシップなんだ」と語り、コンストラクターズ選手権ですでに役目を果たした2人に対し、こうした場面で順位の入れ替えを求める発想そのものに疑問を投げかけた。