角田裕毅:ハジャーとの”負の共通点”、ペレス後任の可能性を語るヘルムート・マルコ
ジュニアドライバーのアイザック・ハジャーについてヘルムート・マルコは、自制心に欠け感情を抑制できないことから、かつての角田裕毅(RBフォーミュラ1)と同じ様にメンタルトレーナーをつけたと明かすとともに、サマーブレイク後に角田裕毅がセルジオ・ペレスに代わってレッドブルをドライブする可能性について説明した。
角田裕毅とハジャーの”負の共通点”
4年目を迎えた角田裕毅は今でこそ、成熟したドライビングと落ち着いた態度を見せているが、過去にはコックピット内で自らを律することができず、無線での荒々しい振る舞いがファンの注目を集めてきた。
Q1敗退を喫したデビュー4戦目の2021年F1スペインGP予選では「このクルマは信頼できない!」と苛立ちを爆発させ、後に「チームを批判する意図はなかった」等として一連の発言を謝罪した。
GrandPrix247とのインタビューの中でレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるマルコは、「メンタルトレーナーをつけたこともあるし、ユーキとは幾度となく議論を重ねた」と語る。
「まず何よりも怒鳴るのは愚かなことであって、それによって彼はどんどんスピードを失っていった。そのことが一番の懸念だった。クルマがクソだと言っても、エンジニアはどうすればよいのか?ということだ」
「無線で発するべきは技術的な情報を詳しく伝えるということだ。集中して、何が問題なのかを正確に把握しなければならない」
「今ではプライベートで話すとユーキは叫んだりしないが、喋り口調は攻撃的だ。もちろん無線越しにね」
ハジャーもまた、無線での感情的な言動がFIA-F3選手権時代からしばしば、ファンの間で注目されてきたドライバーだ。
つい先日のF2モナコでは、VSC(バーチャル・セーフティカー)の導入により最終ラップを前にザック・オサリバンに勝利を奪われると、クールダウンラップを通して手を振り回し、頭を激しく揺さぶりエンジニアに怒鳴り続けた。
19歳のフランス人ドライバーについてマルコは「フランス人としての感情豊かなアイザックも似たようなところがある。そこでそのような行動を止めさせるべく、彼にもメンタルトレーナーをつけた」と付け加えた。
今シーズンの角田裕毅は、自制心の欠如、突発的な感情の爆発、そしてミスをしやすいという、これまで抱えていた3つの問題の「全てがなくなった」とマルコに言わしめるほどにまで成長し、安定したパフォーマンスを発揮している。
一貫性の向上について角田裕毅は先月、僚友ダニエル・リカルドとの良好なコミュニケーションが可能にする週末内でのクルマの立て直しと、感情の制御を含めたリカルドからの学びによるところが大きいと説明した。
角田裕毅のレッドブル昇格の可能性
レッドブルは現在、不振から脱せずコンストラクターズ選手権争いでレッドブルの足を引っ張っているペレスの後任を検討しており、マルコはリザーブ・ドライバーのリアム・ローソンだけでなく、角田裕毅にもチャンスがあると仄めかした。
噂では、シーズンの前半終了を告げるベルギーGP終了時点で僚友フェルスタッペンとの差が101点以上である場合、あるいはフェルスタッペンよりもランキングが6つ以上下回った場合、レッドブルは契約のパフォーマンス条項を使ってペレスを解雇することができるとされている。
パフォーマンス条項に関わるこの噂について問われたマルコは「F1におけるあらゆる契約には解除条項がある。ほとんどはパフォーマンスに関連するもので、トップドライバー向けのものだ。以前にも言ったように、夏休みの間に評価を行い、その後決定を下すことになる」と答えた。
また、ペレスが解雇された場合、後任はローソンになるのか?との質問に対しては「まずは様子を見ることになる。ローソンは木曜にシルバーストンでテストを行う予定だ」とした上で次のように続けた。
「(決定までには)まだ2戦残っており、ローソンはさらにテストを行う予定だ。それに角田裕毅も本当に良いパフォーマンスを見せている」