ガレージからコースに出るスクーデリア・フェラーリSF90、F1バルセロナ合同テスト3日目
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どのマシンが今季最速?口を揃えてフェラーリの名を挙げるレッドブルとメルセデス

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レッドブル・ホンダは、バルセロナで行われた4日間のテストにおいて深刻なトラブルを抱える事なく順調に走行を重ね、ホンダとの新たな旅路を好調の中にスタートさせた。だが、モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、現時点ではRB15よりもフェラーリSF90の方が明らかに競争力があると考えている。

「サーキットで目の当たりにしたのは、間違いなくフェラーリが最速のマシンだという事だ。我々レッドブルとメルセデスは彼らの後塵を拝している」ヘルムート・マルコは第一回テスト最終4日目にこのように述べ、自身の見解を明らかにした。

跳馬最速を予想するのはマルコだけではない。同じレッドブル陣営のスクーデリア・トロロッソ代表、フランツ・トストも同意見である事を公言。更に、ハイブリッド時代の王者メルセデスAMGのトト・ウォルフ代表も「実際のところ、フェラーリは我々の0.5秒上回る速さを示している」と語り、同じようにスクーデリアの優勢を認めている。

今月18日からシルクイート・デ・バルセロナ・カタルーニャで行われた第1回目のプレシーズンテストでは、ルノーのニコ・ヒュルケンベルグがファステストを叩き出し、これにトロロッソ・ホンダのアレックス・アルボンとダニール・クビアトが続いた。対して跳馬はシャルル・ルクレールが8番手、セバスチャン・ベッテルが9番手と目立ったポジションにはつけていない。

だがマラネロのマシンが履いていたのはC3コンパウンド、すなわち昨年風に言えば黄色のソフトタイヤであり、メルセデスを含めたラップタイム上位6台は紫色のウルトラソフトに相当するC5での計測であった。ピレリの分析によれば各コンパウンド間のギャップは0.6秒から0.7秒程。仮にフェラーリがC5でショートランを行った場合、最速ヒュルケンベルグをコンマ5秒上回る計算となる。

フェラーリ創立90周年を記念したネーミングを持つSF90は、注目のハの字型フロントウイングや三角形状の小型エアインテーク、非常にスリムなエンジンカバー等、パッケージ全体が大きく進化した事を伺わせており、2019シーズンがメルセデス圧勝時代の潮目となる可能性は大いにある。

跳馬初のマット塗装については、かつて会長を務めていたルカ・ディ・モンテゼモーロが「フェラーリレッドは神聖なものであり納得できない」と述べ批判的な姿勢を示しているものの、マッティア・ビノット新代表は数百グラム単位の軽量化を追求した結果だと明らかにしており、マラネロの勝利に対する強い渇望を感じさせる。

その一方で、チャンピオンシップ返り咲きを再優先事項に、リスクを背負ってホンダと提携したレッドブルが、エイドリアン・ニューウェイ全面関与のRB15で大きく後手に回る事は考えにくい。事実、あまり多くを語ろうとはしないものの、RB15で947周ものラップを重ねたピエール・ガスリーとマックス・フェルスタッペンは前向きな言葉しか口にしておらず、ガスリーに至っては「今のところ良いニュースしかない」と述べている。

昨年のレッドブルは中国、モナコ、オーストリア、メキシコの4レースで優勝を果たした。ホンダにとってもレッドブルにとっても、この数を超える事が今シーズンの最低限の目標だ。ヘルムート・マルコはフェラーリに遅れを取っていると認めながらも、今季RB15がライバルたちと”真っ向勝負”を演じた上で、幾度となく表彰台の頂点に立つことに疑いはないと余裕をみせる。

「現時点では我々は今の状況をかなり楽観視している。ライバルがトラブルに見舞われるとか、モンテカルロやシンガポールといった特定のサーキットでなくとも、自分たちの強みを活かして何度かレースに勝てるだろうと踏んでいる」