ホンダF1のチームウェアにプリントされたホンダのロゴ、F1バルセロナ合同テスト
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信頼性・馬力…レッドブル陣営は2019年のホンダエンジンをどう評価しているのか?

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2019シーズン第1回目のバルセロナテストが閉幕した。まだ四日間のテストが終わっただけではあるが、別の見方をすれば開幕オーストラリアGPまでに残された実走行のチャンスは後4日しかない、とも言える。レッドブル陣営はホンダをどのように評価しているのだろうか?

信頼性に関する懸念は払拭された、とレッドブル

2010年から2013年にかけて4度世界タイトルを獲得した競合レッドブルは、12年間に渡って共に成功を収めてきたパートナー、ルノー・スポールと決別し、昨年大きな進化を示したホンダと契約。2019シーズンより新しい旅路をスタートさせた。

クリスチャン・ホーナー代表はホンダとの提携について、”再びタイトル争いに返り咲くために必要な決断だった”、と明かした。とは言え、マクラーレンとの3年間で図らずも築き上げてしまった「信頼性不足」という名のレッテルと印象は強烈であり、パドックやファンの間では不安と疑問の声を上げる者も多い。

実際のところ、昨シーズンのホンダはレース中に深刻なトラブルを抱えて故障するような事はほとんどなく、ライバルと比べてもあまり遜色のない信頼性を発揮していた。だがミッドフィールド争いではなくフェラーリやメルセデスを相手にチャンピオンシップに挑戦するとなれば、パフォーマンスに舵を切った開発と運用が求められるのは必至。馬力と信頼性は表裏一体の関係にある。

ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターとレッドブル・レーシングのヘルムート・マルコ
© Getty Images / Red Bull Content Pool、田辺豊治テクニカル・ディレクターと話し合うヘルムート・マルコ

レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、当初はホンダの信頼性に疑念を持っていたものの、4日間のシーズン前テストを終えた今、それは思い違いに終わったと明かした。ホンダの2019年仕様「RA619H」を搭載したRB15は、バルセロナで深刻なトラブルを抱える事なく、マックス・フェルスタッペンとピエール・ガスリーが合計475周、距離にして2211kmを走破した。

「これまでのところ我々は本当に良い時間を過ごせているし、ホンダのエンジンは信頼性を発揮している」とマルコ。スクーデリア・トロロッソを含めたホンダPU勢は、ハースとアルファロメオを抱える3チーム供給のフェラーリ陣営に次ぐ2番目に多い周回数を記録した。

「両チームにとっては、シーズン開幕に向けてこれほど上手く準備を整えてこれた年は今までに一度もなかったんじゃないだろうか」

「新しい時代の始まりだ。過去を振り返る事はなく、前を見据えて楽しみにしている。ホンダとは本当に良い関係を築けている。もちろん信頼性に関して心配していたのは確かだが、これまでのところは全く問題ない」

英国に本拠地を置くレッドブルが、日本のエンジンメーカーと組んで仕事をするのは今回が初めて。仕事のやり方や価値観などを異にする両者だが、意思疎通に問題はないのだろうか? マルコは次のように答えた。

「我々にとっては新しい仕事の価値観と文化だが、スタッフたちは互いに上手く連携して仕事に取り組めている」

昨年のエンジンよりも馬力が向上、とガスリー

信頼性は良し。では馬力はどうなのだろうか? レッドブル・ホンダは4日間の通算でピエール・ガスリーが全21人中15番手、マックス・フェルスタッペンが同16番手と、ラップタイム的には揃って下位に沈んでいる。

しかしながら、トロ・ロッソで既にホンダエンジンを経験しているピエール・ガスリーは、昨年のRA618Hと比較すると明らかなパフォーマンスの違いを感じていると明かす。

ガレージ内で笑顔を見せるレッドブル・ホンダのピエール・ガスリー、F1バルセロナ合同テスト
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「ここまでは本当にいい感じだ」とガスリー。「まだエンジン全開でプッシュする事はしていないけど、それでもパフォーマンスの向上を肌で感じてる。それに信頼性に関する問題も皆無だ。トロロッソを見ても、ホンダのエンジンがかなり有望だって事が分かるはずだ」

テストで重要となるのはタイムシートではない。大切なのはクルマを知ることだ。風洞で導き出された期待値と実際のパフォーマンスとの相関、マシンが持つ基本性能とその状態について正確に把握すること。これによって今後進めるべき開発の方向性が明確になり、また、セットアップを正しく行うことが可能となる。

同じホンダエンジンを積むファンツァのチームはレッドブルとは異なり、テスト3日目と4日目にパフォーマンスランを実施。4日間の合算成績でダニール・クビアトが3番手、ルーキーのアレックス・アルボンが2番手タイムを記録した。空タンに近い燃料搭載量と考えられるが、それでもなお実に印象的なスピードを示している。ガスリーは現時点では「ネガティブな要素は一つもない」と続ける。

「この4日間については、良いニュースしかない。ライバルは本当に速いタイムを残してるけど、現時点で僕らは(ラップタイムを目標にするのではなく)クルマに関するテストに集中して取り組んでいる。何が一番ベストなのかを理解するためにね」

シーズン前最後となる第二回F1バルセロナ合同テストは、週明け26日(火)から3月1日(金)までの4日間に渡って、スペインのカタロニア・サーキットで行われる。