ピレリF1、競合参入とタイヤ戦争を歓迎するも「コスト増につながる」として懸念を表明
F1の公式タイヤサプライヤーであるピレリのマリオ・イゾラは、同社にはタイヤ戦争に挑戦する決意があると述べ、新規参入メーカーの歓迎を表明。その一方で、仮に2つ以上のメーカーがF1にタイヤを供給する場合、コストが増加する事は必然だと強調し懸念を示した。
イタリアのタイヤメーカーであるピレリは2011年よりF1にタイヤを単独供給。2つのタイヤメーカーがしのぎを削っていた時代は2006年が最後。当時はブリヂストンとミシュランが激しい開発競争を繰り広げていた。
ブリジストンの復帰の意思は確認されていないが、ミシュランの方は再びF1にカムバックする事を検討している。F1とFIA国際自動車連盟は先月、現行規約が満了を迎えた後の新しいレギュレーション案を発表。2020年からの4年間のサプライヤーを決めるための入札が開始された。
イゾラは、単独供給の場合にはデグラデーションの高いコンパウンドの製造が可能になるなど幅広い可能性がある一方、複数供給の場合には、信頼性を確保しつつパフォーマンスを競うことが主な焦点になるとの見解を提示。その上で、タイヤ戦争が勃発すればテスト用の走行機会を新たに設けることなどが必要となり、必然的にコストが増加すると訴えた。
フォース・インディアのチーム解体騒動に象徴されるように、昨今のF1では、予算規模が小さいチームの継続的参戦が危うい状況となっており、コスト削減が重要なテーマの一つとなっている。
入札は8月31日に締め切られる事になっているが、事実上ミシュランの参入は難しいものと考えられている。というのも、ミシュラン側が意欲を示している18インチホイールの導入は2021年以降であり、移行期間となる2020年の一年間は、現行の13インチサイズのタイヤを製造しなければならないからだ。
現在、13インチタイヤを製造・供給しているピレリにとっては特段のコスト増とならないが、新規参入のミシュランにとっては僅か一年のために長い期間をかけて研究開発を行う必要がある。これが費用対効果に見合わない事は明らかであるため、現実的にはピレリの続投が既定路線と考えられている。