3兆円ぽっちでF1を売る気は毛頭ない、とリバティメディア…短期的売却の可能性が乏しい構造的理由

F1のステファノ・ドメニカリCEOとリバティメディアのグレッグ・マフェイCEO、2023年5月6日F1マイアミGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

F1の商業権を保有する米リバティメディアのグレッグ・マフェイ最高経営責任者(CEO)は「我々は将来に対してかなり強気だ」と述べ、200億ドル(約2兆9000億円)程度でF1を売却する意思は毛頭ないと強調した。

アメリカのメディア関連企業が2017年にCVCキャピタル・パートナーズからF1を買収した際の金額は44億ドルに過ぎなかったが、以降、F1の人気は世界的に高まっており、グランプリレースの開催を巡って多くの候補地がしのぎを削っている。

今年の初め、サウジアラビアの公的投資基金「PIF」が200億ドル超を投じてF1の買収を検討しているとの報道があったが、マフェイは米国の顧問サービス会社「ウォーカー・アンド・ダンロップ」の対談インタビューの中で、交渉は行われておらず、200億ドルで売却する気もないと主張した。

「サウジは我々のパートナーだ。レースに加わり、アラムコ(サウジアラビア王国の国有石油会社)がスポンサーを務めているが、我々に接触してきた事は一度もない」とマフェイは語った。

「率直に言って200億ドルは魅力的な価格ではない。なぜ200億ドルなのか? 我々は遥かにずば抜けた金額を望むだろう。我々は将来に対してかなり強気だ」

F1の親会社であるデルタ・トプコの株式100%を取得して傘下に組み入れたリバティメディアはC-Corpと呼ばれる事業形態を採っている。これはS-Corp、LLCとは異なり、法人・株主レベルの両方で課税される。

グループの企業構造を変更する必要があるとしてマフェイは短期的な売却の可能性を否定する。

「我々はC-corpであるため、部門を売却する場合、法人レベルで税金を支払うことになり、株主に分配される収益があれば、株主は更に税金を支払うことになる」

「F1を分離独立させて別会社を設立し、売却する計画も意図もなく十分な時間が経過すれば、将来的には法人レベルの税金なしに資産を売却する事ができる」

「何が言いたいかというと、我々の現在の構造においては税率という観点から、売り手になり得ないという事だ」

「もし売り手になる事を望むなら、あるいはそれが正しい考えるなら、切り離して独立させる必要がある。独立させるとすれば、それは単に売却を念頭に置いてというだけでなく他にも理由はあるが、我々の現在の構造上、それはあまり魅力的ではない」

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