角田裕毅を強く意識するリアム・ローソン、RBで課されたターゲット 見据える2025年レッドブルF1シート
リアム・ローソンはシーズンの残り6戦で、少なくとも角田裕毅に匹敵するパフォーマンスを発揮して2025年以降の契約を掴み取る決意を固めているが、その視線の先にあるのはRBのF1シートだけではない。
22歳のニュージーランド人ドライバーは今週末のF1第19戦アメリカGP以降、2025年のシートを懸けて角田裕毅と直接比較されることになる。ただ、両者のこの関係は今に始まったものではない。
2人は2019年のユーロフォーミュラ・オープン時代に、モトパークのチームメイトという関係だった。また同年のFIA-F3選手権モンツァでは異なるチームのライバルとして、揃って表彰台に上がった。
翌年に参戦したトヨタ・レーシング・シリーズ(現フォーミュラ・リージョナル・オセアニア選手権)でもM2コンペティションのチームメイトとなった。角田裕毅は総合4位、ローソンは2位で、イゴール・フラガがチャンピオンを獲得し、フランコ・コラピントが3位を獲得した。
ローソンはF1公式YouTubeチャンネルの中で、角田裕毅との長年に渡る関係について語り、2025年のF1シートを勝ち取るにはチームメイトとの比較を通して高い評価を得る必要があると強調した。
「ユーキとは長い付き合いだ。2019年のF3でチームメイトだったし、彼がニュージーランドに来てトヨタ・レーシング・シリーズに参戦した時もチームメイトだった」とローソンは語った。
「同じ建物に住んでいたこともあるし、去年もチームメイトとして5レースを戦った」
「つまり、ユーキとは17、18歳の頃から比較されてきたんだ」
来季に向けてシートを獲得するには何が必要か?との質問に対してローソンは「それは、僕がユーキと比較してどうなのかによる」と答えた。
「今のF1で比較の基準となり得るのはチームメイトだけだと思う」
「もちろん、チーム間の差は小さくなっていて、クルマの性能も接近しているけど、一番重要なのは誰もが知っている通り、チームメイトだ」
「自分と同じクルマに乗るのは彼だけだから、その比較で評価されることになる」
また、F1公式ポッドキャストの中で、レッドブルがRBでの自身に求めているのは、少なくとも角田裕毅に「匹敵するパフォーマンス」を発揮すること、そして「ポイントを獲得」することの2点だと説明した。
ローソンは、今季の角田裕毅がこれまで以上に高いレベルの走りを見せていると認める一方、その理由の一つとしてチーム内の変化がポジティブな方向に向かっていることを挙げた。
「確かに今年の彼は素晴らしいスタートを切ったし、これまでのどのシーズンよりも良いパフォーマンスを見せている。ただ同時に、チームも今年大きく変わり、本当に良い方向に向かっていると思う」とローソンは語った。
アメリカGP以降の残り6戦でレッドブル首脳陣の期待に応えられない場合、ローソンのF1キャリアは終わりを迎える可能性がある。一方で評価を更に高めれば、セルジオ・ペレスを巡る状況如何ではあるものの、RBのシートのみならず2025年シニアチーム昇格の道が開かれる可能性もある。
成績次第でワークスチームに昇格できる可能性についてレッドブル首脳陣から何らかの言及があるのか?との質問に対してローソンは「そうだ」と答えた。
「将来的にレッドブルのドライバーになるという方向で常に話し合いが行われてきたし、僕もそのことを彼らに伝えてきたし、そうなりたいと思っている」
「それがいつになるかは分からないけど、彼らも今のラインナップに代わるドライバーを必要としているだろうし、結局のところ、自分のパフォーマンス次第だってことは分かってる」
ダニエル・リカルドのシート喪失と、後任としてのローソンの起用が正式に発表されたのはシンガポールGP後だが、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表が決定を下し、ローソンにそれを伝えたのは遡ること2週間前のアゼルバイジャンGPの週末だった。
リカルドもまた、マリーナベイ市街地コースでのレースがラストレースになることを知っていた。両者は良好な関係を築いていた。ローソンはシンガポールでリカルドと話し合い、自身の気持ちを伝えた。
「(2023年の代役参戦の時に)ドライビングのアドバイスをくれたり、シーズンを通してできる限りのことをしてくれたり、ダニエルはいつも僕に良くしてくれていた」とローソンは明かす。
「だから、シートを巡って彼と直接、争っているような感覚を持つことは一度もなかった」
「彼に会いに行って、このような状況になって申し訳ない、嫌な思いをさせて申し訳ない、って謝ったんだけど、彼は僕に、何も悪い感情を持ってはいないし、F1で1度切りのチャンスが巡ってきたのだから、それを確実にものにしろ、幸運を祈る、って言ってくれた」