“ゾッとする”ような進化…ホンダは2019年のF1における”名もなきヒーロー”だ、とジョリオン・パーマー

ホンダの応援幕を掲げるマックス・フェルスタッペンの母国オランダ人ファン、2019年ハンガリーGPにてcopyright Red Bull Content Pool

マクラーレンとの悲壮な3シーズンに終止符を打ち、イタリアの良き友人と巡り合ったホンダは、雪辱を晴らすかの如く信頼性とパフォーマンスに磨きをかけ、目標とするチャンピオンシップ制覇を共に達成しうるだけの力と実績を持つパートナーと出会った。

レッドブル・レーシングとの提携初年度、次期タイトル候補ナンバーワンと目されるマックス・フェルスタッペンの活躍もあり、ホンダは2019年シーズンの前半戦を終えて、ドイツGPでのダブル表彰台を含め2勝を挙げた。更にハンガリーGPではポールポジションを獲得。復帰5シーズン目にして、初の勝利と最速の称号を手にした。

ハイブリッド・ターボ時代の雄メルセデスは今年、更に強さを増し、開幕戦からの8連勝を達成。前半12レースで10勝を挙げる圧倒的な速さを示しており、シーズンの半分を消化した今、彼らが最も称賛されるべき存在である事に疑いはない。

だが、直近の4レースに注目すれば、レッドブル・ホンダはその内2勝を挙げて勝率5割。地道な努力によってシーズン序盤のパフォーマンス不足を解消し、一次元上のステージに上り詰めた。フェルスタッペンは今や、選手権リーダのルイス・ハミルトンとの差を詰めて、2位につけるバルテリ・ボッタスを射程に捕らえている。


© Getty Images / Red Bull Content Pool、表彰台で2位のトロフィーを手に持つレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2019年ハンガリーGPにて

元F1ドライバーのジョリオン・パーマーは、ハンガリーGP後にBBCに寄稿したコラムの中で、ホンダは達成した偉業を正しく評価されていない陰のヒーローであり、その改善ぶりは「恐ろしいレベルだ」と称賛した。

「レッドブルのエンジンパートナーは、2019年の名もなきヒーローだ」とパーマー。「レッドブルとの新たなパートナーシップにより、日本のエンジンマニュファクチャラーは、その真価を完全に発揮してみせた。フェラーリやメルセデスと比較すると、エンジンのトップパフォーマンスという点ではまだ劣っているものの、彼らの進化はゾッとするレベルだ」

「ホンダは今年、ハイブリッド時代初のポールポジションと優勝を挙げたわけだが、この業績は日本のエンジンメーカーに相応しいものだ。彼らは、災いのようなマクラーレンとの数年間で泥沼に引きずり込まれていた」

現時点でのレッドブル・ホンダをどのように評価するかは意見の分かれるところだろう。フェルスタッペンなくして2勝を挙げていたかは疑問符が付くところであり、また、ホンダエンジンを積んでいなくとも、同じように勝利していたと考える者があっても不思議はない。

だが、ジョリオン・パーマーはそのように考えておらず、「今シーズンのトロ・ロッソの活躍をみれば、それがレッドブルだけの力によるものではない事は明らかだ」と指摘。かつてルノーからF1を戦った元イギリス人レーサーは、レッドブル・ホンダは王者メルセデスの脅威となるはずだと考えている。

「ダニール・クビアトはドイツGPで、ホンダパワーと共に、トロロッソにとって10年以上ぶりの表彰台を獲得した。レッドブルは今季をスロースタートしたが、彼らが示した進捗曲線は、来年のメルセデスにとって不安材料となるはずだ」

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