角田裕毅、注がれる熱い眼差し「注目されるのは嬉しい」ファンのサポートを”助け”に鈴鹿凱旋レースへ
2006年以来、16年ぶりにチケットが完売するなど、熱い眼差しが注がれる10月7~9日のF1第18戦日本GPの目玉の一つは、初の母国凱旋を果たすスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅だ。
日本GPは過去2年に渡って新型コロナウイルスの世界的流行の影響で中止を余儀なくされてきた。F1での2シーズン目を迎える角田裕毅にとっては今回が初のF1ホームレース。また、日本人ドライバーが日本GPに参戦するのは2014年の小林可夢偉以来、8年ぶりとあって、期待と注目は否が応でも高まる。
過度な緊張とプレッシャー、他国での週末よりも遥かに多いメディア対応など、母国レースで好成績を残せないドライバーは決して珍しくない。
F1史上3番目に多い優勝回数を誇るセバスチャン・ベッテルは21の異なるサーキットで勝利を収めているものの、ニュルブルクリンクを別にしてホッケンハイムリンクでは、レースをリードしながらもクラッシュした2018年を含め、6回の出走の中で一度も勝利できなかった。
だが、角田裕毅にそういった心配は無用のようで、ファンからのサポートは力になると話す。
3年ぶり、自身初の鈴鹿F1日本GPを前に角田裕毅は「今回のレースはファンからの関心がかなり高くなるだろうと思っています。どんなレースになるのかは想像もつきません」と語った。
「通常のレースウイークとは全く違うものになるでしょうし、これまでにない新しい経験を楽しみたいと思っています」
「注目されることは嬉しいです。僕は他人からのプレッシャーをあまり感じないタイプですしね」
「ドライビング中は自分自身のことだけに集中していますが、応援してくれる人たちのおかげで、毎周、ポジティブな意味で余計にエネルギーが出ますし、それが助けになる事がうれしいです」
「友人や家族もたくさん鈴鹿に来てくれる予定ですし、僕がパスを用意できなかった人たちもチケットを買ってくれています」
「何より重要なのは、1週間ずっと日本食が食べられるってことなんですけどね!」
旧鈴鹿サーキット・レーシングスクール出身の角田裕毅にとって鈴鹿は二重の意味でのホームだが、ジュニア時代に走り込んだF4マシンとF1とでは、コックピットから見える景色が違うと言う。
「ある意味、日本GPもカレンダーの中の一つのレースに過ぎませんが、同時にF1を始めてからずっと楽しみにしていたレースでもあります」
「鈴鹿はF4時代にかなり走り込んだコースなのでそれなりに経験はあるのですが、最近シミュレーターでF1マシンを走らせてみたら、全くの別世界でした」
「実際、ダウンフォースが遥かに大きいので、F4よりもF1の方がラップを通してずっとスロットルを開けているような感じがします」
「コースの眺めも全く違いますし、まるで全く新しいサーキットを走っているような感覚でした」
「とは言え、過去に走り込んだ経験はF1でも役に立つと思いますし、鈴鹿の走り方についてはちゃんと覚えています。地元のファンの前でレースをするのを本当に楽しみにしています」
先週末のマリーナベイ市街地コースでのレースは鈴鹿に向けての勢いをつける場とはならず、教訓とすべき結末に終わったが、直近3戦の中で2回目の予選Q3進出を果たすなど期待が持てる要素もあった。
「僕にとっての初めてのF1シンガポールGPは、思うような結果を残せませんでした」
「金曜日の時点では苦戦模様でしたが、予選はQ3に進出できるまでに挽回できた点は良かったと思います」
「ただレースはコンディションが本当にトリッキーで、スリックタイヤに履き替えるのが少しばかり早すぎたように思います」
「でも結局のところ、自分自身のミスでブレーキングポイントを見誤り、クラッシュしてしまいました」
「気持ちを切り替えて、今週末の僕にとっての初めてのF1でのホームレースに集中したいと思います」
日本GPの舞台となるのは、世界のトップドライバーがこぞって絶賛する至宝、三重県鈴鹿サーキットだ。他に類を見ない八の字型のレイアウトには、テクニカルなS字やデグナー、エンジン性能が問われる130Rを含む最終セクションが組み込まれ、屈指の難コースとして知られている。
前回大会の2019年のF1日本GPはバルテリ・ボッタスが勝利を掴み、僚友ルイス・ハミルトンがファステストラップを刻んで3位に続いた事で、メルセデスが最終戦を待たずにコンストラクターズタイトル6連覇を飾った。
F1日本GPは日本時間10月7日(金)12時からのフリー走行1で幕を開ける。