セバスチャン・ベッテル、意図せず思わず溢れ出た「アリガトウ スズカ」”満面の笑み”を与え続けてくれた鈴鹿への感謝
セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)の”たどたどしい”片言の日本語は、一体どれだけの日本のファンを感動させた事だろう。曰く、予選後の例の無線メッセージは思わず溢れ出たものだった。
4年連続のタイトルを含め、数々の輝かしい成績を収めてきたベッテルは、夏休みを前に2022年シーズン末を以てF1から引退する事を決断した。そんなレジェンドが世界のどこよりも愛したのが鈴鹿だった。
ベッテルによるとアストンマーチンAMR22は決して鈴鹿向きのマシンではない。実際、ヘアピンでロックアップした僚友ランス・ストロールは19番手でQ1敗退を喫した。
だが、鈴鹿4勝を誇るベッテルは驚きのQ3進出をやってのけ、全力で走れる最後のチャンスで9番グリッドを持ち帰り、そのインラップでチーム無線を通して次のように語った。
「OK、みんな、いいセッションだった。ああ、本当に楽しかった。このコースは兎に角、他のどの何処よりも遥かに勝る素晴らしいコースだ。ありがとう。アリガトウゴザイマス、スズカ。ありがとう。寂しくなるけど、まだ明日のレースが残ってる」
ヘルメットを脱いだベッテルは、鈴鹿での予選ラストランに「動揺した」ことを認めつつも、2022年シーズン末でのF1引退を決断した事を後悔してはいないと主張した。
「後悔しているわけじゃないし、レースを楽しみにしてるんだけど、これが最後だという事が少し悲しいんだ」
かつての定位置、ポールポジションからは1.2秒以上遅れたものの、ベッテルはスタンド席に囲まれた高速のセクター1へと飛び込むたびに毎周「満面の笑み」を浮かべていたという。
「ここが大好きなんだ。鈴鹿を愛してる。ここでは、より生き生きとしているように感じられるんだ。クルマと格闘しながらファーストセクターに飛び込むと、毎回、満面の笑みが溢れてくる」
「失うものは何もない。確かにコンストラクターズ選手権では厳しい状況にあるから、幾らかポイントを獲得したいと思っている」
「理論的に言えばおそらくここは僕らにとって最善のコースじゃないはずだ。それでも今日は素晴らしい1日になったし、明日もう一度それを目指さない理由は何処にもないでしょ?」
英Autosportによるとベッテルは、例の「アリガトウ」コメントについて、特に事前に計画していたものではなく、思わず溢れ出たものだったと説明した。
「いや、あれは自然に出てきたんだ」
「鈴鹿は僕にたくさんの楽しみを与えてくれたし、クルマの中で生きている実感を与えてくれた。だから感謝の気持ちを伝えるべきだって感じたんだ」
「ここではたくさんの人が応援してくれる。最高だよ。誰もが熱狂的で僕らの帰りを心から喜んでくれているみたいだ。ドイツ国旗もたくさんあった。兎に角、ありがとうって言いたい。そんな気分なんだ」
2022年F1日本グランプリ予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。2番手にシャルル・ルクレール、3番手にカルロス・サインツと、フェラーリ勢が続く結果となった。
2022年F1日本グランプリ決勝レースは10月9日(日)14時にフォーメーションラップが開始され、1周5807mの鈴鹿サーキットを53周する事でチャンピオンシップを争う。