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今季モータースポーツは絶望的?MotoGPが悲観的過ぎ? それともF1が楽観的?「レースが出来たら驚きだ」

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、F1やSuper GTなどの4輪シングルシーター及びスポーツカーをはじめ、MotoGPやモトクロス世界選手権などの2輪レースが中止・延期を強いられる中、ドルナ・スポーツのカルメロ・エスペレータCEOは「今年モータースポーツのレースが開催できたら驚きだ」と述べ、2020年シーズンの開催に悲観的な見方を示した。

新型肺炎の影響で業績が向上している業界もあるが、旅行業界や百貨店、外食産業やブライダル産業と同じ様に壊滅的な被害を被る可能性が高いのがスポーツ業界だ。COVID-19パンデミックは明らかにモータースポーツ業界の脅威であり、我々メディアや小規模資本チームを恐怖に陥れているものの、F1は不気味なほど頑なに楽観的な姿勢を強調している

だが、2輪最高峰シリーズの経営者は何の幻想も抱いていない。ドルナのカルメロ・エスペレータCEOはオーストリアのSPEEDWEEKとのインタビューの中で次のように述べ、2020年のMotoGPシーズンが全面的に中止される可能性を認めた。

「スペインの状況は非常に悪く、イタリアやフランスもそうだ。コロナウイルスの蔓延を食い止めるためのワクチンができるまでは、グランプリやその他の大きなイベントを開催することは、不可能ではないにしても非常に困難だろう」

各シリーズの公式アナウンスとは裏腹に、2020年シーズンのモータースポーツは最悪の形で終わると考えた方が心の平穏が保てる可能性が高い。というのも、例えば世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が2月に明らかにしたように、ワクチンが規定の3段階をすべてクリアするまでには最低でも12ヶ月から18ヶ月かかるからだ。

これですら非常に楽観的な試算である。例えば2002年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群) や、2012年に猛威を振るったMERS(中東呼吸器症候群) に対するワクチンは未だ開発されていない。今シーズン中に抗ウイルス薬が開発される望みは非常に低いと言わざるを得ない。

「正直なところ、今年中にモータースポーツのレースができるとしたら驚きだ。今は次の展開を待つしかない」カルメロ・エスペレータCEOはこのように付け加えた。

表面的な言葉とは裏腹に、F1もまた状況の深刻さを実感し始めている。F1首脳陣はスタッフの半数近くを一時解雇した上で、チェイス・ケアリーCEOやスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンら高給取りを減給の対象としたものとみられている。