ホンダのインディカー用2.2リッターハイブリッド・パワーユニット、2024年3月29日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われたハイブリッド・エンジンテストにて (1)
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2年半遅れで遂に…インディカー、初のハイブリッド・パワーユニットを2024年第9戦ミッドオハイオで導入

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インディカー・シリーズは2024年5月14日(火)、今年7月にミッドオハイオ・スポーツカー・コースで開催される第9戦より、2.2リッターV型6気筒ツインターボ・エンジンをベースとしたシリーズ初のハイブリッド・パワーユニットを導入すると発表した。

インディカー、シボレー、そしてホンダは、昨年8月16日のセブリング・インターナショナル・レースウェイでの初テスト以来、7ヶ月間を通して28名のドライバーの協力を得て計3万7849kmの走行を重ねてきた。

インディカーのジェイ・フライ社長は、2024年シーズン中の導入を可能たらしめたのは「シボレーとホンダのパートナーシップにおける未知の力強さ」であるとした上で、新世代ハイブリッド・パワーユニットは「エネルギーの上乗せとオーバーテイクにおけるオプションを以て、シリーズに新たな興奮をもたらすだろう。ミッドオハイオで新時代の幕開けを見るのが待ち切れない」と付け加えた。

インディカーのハイブリッド・エンジン・テストに取り組むマーカス・エリクソン、2024年3月29日インディアナポリス・モーター・スピードウェイにてCourtesy Of Penske Entertainment

インディカーのハイブリッド・エンジン・テストに取り組むマーカス・エリクソン、2024年3月29日インディアナポリス・モーター・スピードウェイにて

インディカー初のハイブリッドシステムは、低電圧(48V)モーター・ジェネレーター・ユニット(MGU)とエネルギー・ストレージ・システム(ESS)から構成されており、これらはICE(内燃エンジン)とギアボックスの間に位置するベルハウジングの内部に収められている。

MGUはクラッチシャフトに作用することでブレーキング時などにエネルギーを回生し、ESSに電力をチェージする。貯蔵された電力は、ドライバーの要求に応じて同じMGUを通じてエンジンパワーに上乗せされる。

回生に関する運用アプローチは2種類ある。

自動回生では、ドライバーがブレーキを使用するか、スロットルの位置に応じて自動的に回生が行われる。手動回生では、ステアリングホイールに設置されたパドルやボタンを使用してドライバーが回生をコントロールする。

貯蔵されたエネルギーの使用、デプロイメントは、ハイブリッドにおいても継続される既存の「プッシュ・トゥ・パス」システムと同様に、ラッチ式のボタンを通じて手動でのみ行われる。

プッシュ・トゥ・パスは1回毎の使用可能時間と、レース全体での使用可能時間に制限が設けられている。ハイブリッドによるデプロイメントも同じように、サーキットの全長に基づき、ラップ毎に使用可能なエネルギー量に制限が設けられる。

ロードコースとストリートサーキットでは、これら二つのシステムを併用することが可能で、電動アシストによる120馬力を加える事でパワーユニット・システムの総出力は800馬力を超えることになる。開発が進むにつれて今後更なる馬力の増加が見込まれる。

低電圧(48V)のMGUは高電圧システムに比べて安全性が高いため、事故や故障が発生した際のリスクを減少させる事ができる。また、スピンやエンジン停止に直面した際、ドライバーが自らクルマをリスタートさせる事が可能になる事で、セーフティーチームの出動機会、赤旗中断の減少が期待される。

ホンダのインディカー用2.2リッターハイブリッド・パワーユニット、2024年3月29日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われたハイブリッド・エンジンテストにて (2)Courtesy Of Penske Entertainment

ホンダのインディカー用2.2リッターハイブリッド・パワーユニット、2024年3月29日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われたハイブリッド・エンジンテストにて (2)

北米最高峰のオープンホイールは当初、2022年より新型ハイブリッドを導入する予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックとグローバル・サプライチェーン上の課題を理由に、3回に渡って導入を延期してきた。

ゼネラルモーターズのモータースポーツ競技担当エグゼクティブ・ディレクターを務めるエリック・ウォーレンは「どのような新技術の開発においても、可能な限り多くの問題点を洗い出すために広範な分析とテストが行われるものだ」と語った。

「このプロセスを通じてテストデータを慎重に研究し、ハイブリッド・テクノロジーが統合された際に、その操作とパフォーマンスが期待通りのものであることを確実なものにすべきとの方針で下されたインディカーの決定を我々は支持する」

「このアプローチにより、インディカーとエンジンメーカーは、ハイレベルな競争を中断することなく継続させる機会を得る事となった」

ホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC)USAのデビッド・ソルターズ社長は、ホンダとアキュラが製造する乗用車におけるハイブリッド技術の役割が増加していることを強調し、インディカーにおけるハイブリッド技術の導入はホンダの一般乗用車生産との一致を更に深めるものだとの考えを示した。

「我々のレース・プログラムにおいても、ホンダとアキュラが製造する市販車においてもも、ハイブリッド・テクノロジーの役割はますます大きくなっている。2023年のホンダの総販売台数の4分の1以上、約30万台がホンダCR-Vとアコードのハイブリッド車だった」とソルターズは語る。

「ミッドオハイオでのインディカーの電動化は、我々のレーシング活動をホンダの乗用車生産とさらに一致させるものだ。オハイオ中央部にある複数の製造・研究開発施設で我々は13,000人以上の従業員を雇用している」

「これはエキサイティングな新技術だ。すべての新しいものがそうであるように、我々HRCにとってもこれは、様々な課題への挑戦を必要とするものだった。インディカーのシャシーという非常に制限された制約の中で作動させるべく、十分なコンパクトさとパワー、そして軽さと信頼性を実現できるよう、我々は競合他社とともにハイブリッド・システムの開発に取り組んできた」

「スーパー・キャパシタ・パックとシステムの制御ソフトウェアを開発した社員の仕事を誇りに思っている。ハイブリッド技術が素晴らしいレースの光景に新たな一面を加え、ホンダとインディカーのレースファンを楽しませることを楽しみにしている」

インディカーはミッドオハイオでの実戦投入に先立ち、各チームが最終的な実装を行えるよう、6月11日にミルウォーキー・マイルでフルフィールドテストを行う予定だ。

シリーズ第9戦ホンダ・インディ200 at ミッドオハイオの決勝レースは、現地7月7日(日)に行われる。ミッドオハイオを含めた今季残りの9戦はハイブリッド・エンジンでチャンピオンシップが争われる事になる。