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モータースポーツファンならイザ知らず、一般の方には佐藤琢磨のインディ500の優勝が、どれだけ凄いことなのか、どれほどの偉業なのか分かりにくいのではないだろうか。
時速380km近いスピードで世界トップレベルの33人ものドライバーが走行する中、1歩間違えば即死間違いなしの状況の中で、ミリ単位のマシン操作を行いながら800kmものレースを戦って勝利した、等と説明しても、悲しいかなピンときて頂けないようだ。そもそも日本ではモータースポーツ自体がマイナーな競技扱いされている。
一体どうしたら琢磨が成し得た事を重大さをモータースポーツに興味のない人達に知ってもらえるのか?我々モタスポファンは、どう説明したらこの興奮を一般ピポーのみなさまに分かってもらえるのだろうか?
アメリカ合衆国副大統領が琢磨宛にお祝いのツイートするレベル!!
?Congratulations to @TakumaSatoRacer for winning the 101st running of the #Indy500! ?
— Vice President Pence (@VP) 2017年5月28日
ここでは少しばかり視点を変えてみて、優勝後の琢磨の超多忙かつ過密なメディア対応を紹介することで、インディ500優勝の凄さについて説明してみたいと思う。
超過密日程でメディア対応したNY凱旋
レースを終えた翌日の現地29日、琢磨は朝9時から3時間ぶっ通しで行われた優勝者撮影会に参加した後そのまま記者会見へ。これを終えた後は、5時間に渡って行われたインディ500のセレモニーイベントである”インディ500ビクトリー・バンケットに出席。この模様はテレビで全米に向けて放送されている。
イベントが終わったのは夜の10時過ぎ、琢磨はそこから休む間もなく1,000キロ以上離れたニューヨークに向けて出発し、日付変わった午前1時過ぎに到着。
ほんの少しばかり仮眠を取った後の午前6時半にはホテルを出発、朝からあの有名なFOX5 NYのニュース番組”Good Day NY”とCNBCの”Squawk Box”に立て続けに出演した後、インテルやマイクロソフトなどが上場している世界最大のベンチャー向け株式市場=ナスダックに向かい、インディ500優勝者として午前9時30分に取引開始のベルを鳴らす、という仕事をこなした。この間も無数の報道陣が列をなして琢磨を追う。
ナスダックのオープニングベルと言えば、2009年に世界の”キング・オブ・ポップ”マイケル・ジャクソンが登場したことでも有名。レーサーが株式市場に登場するなんて日本ではまず考えられない。琢磨自身も「全く新しい経験だったよ」とコメントした。
ナスダックでのイベントを終えた琢磨が次に向かったのは、マンハッタンの高層ビルの中でも別格のとも言うべき歴史的建造物「エンパイヤー・ステート・ビル」。インディ500優勝者はここでメディア向け撮影会を行うのが恒例となっている。「Cool(イケてる)な場所だけど、気温もCoolだった」と琢磨、佐藤琢磨も今年40歳、多少のオヤジギャクはやむを得ない。
この他、CBS Sports Radioをはじめとする何本ものラジオ放送収録に臨み、ニューヨーク・タイムズ等無数の新聞メディアからの取材にも応じた。マンハッタンの高級ホテル”キンプトン インク48ホテル”のザ・プレス・ラウンジで、メデイアとVIP向けのパーティーにも参加している。NYでのメディア・ツアーではThe Player’s Tribune、ABC News、SI.com、その他のメディア陣が終始琢磨をフォローして回った。
11時間にも及ぶ怒涛のメディアツアーをこなした琢磨の顔には流石に疲れの色が滲み出ていたが、琢磨の1日はまだ終わらない。流石にランチは取ったようで、すごく美味い寿司を食べたそうだ。
そしてテキサスとデトロイトへ
朝7時前からメディア対応を続けてきた琢磨は、同日夜9時にNYを後にして3,000キロ離れたテキサスに向けて出発。ニューヨーク滞在はたったの20時間、アメリカでの琢磨のスーパースターっぷりは尋常じゃない。
NYCからテキサスまでは飛行機で5・6時間かかることから、ホテル入りしたのは深夜どころか早朝辺りだったのかもしれない。そもそもホテルに行く時間があったのかどうかも怪しいレベル。一夜明けて、琢磨は朝から昨日並みの複数の取材対応とラジオ出演をこなす。
メディア対応の他、この日はアメリカで最も人気のあるプロスポーツであるアメリカンフットボールのチーム”ダラス・カウボーイズ”を訪問。アメフトは毎週1億人以上がテレビの前やスタジアムで観戦するアメリカの国技とも言われるほどの超絶人気スポーツ。中でもカウボーイズは屈指の名門として知られており「アメリカズチーム」と称されている。要は、アメリカスポーツ界のトップに君臨するチームなのだ。
2015年のフォーブスの試算によれば、ダラス・カウボーイズはサッカーのレアル・マドリード等を上回る世界一の市場価値を持つスポーツチームだとされている。琢磨はそんなアメリカン・ドリームの体現者達と肩をならべて写真撮影を行なった。今や琢磨は、全米モータースポーツ界の顔となっただけでなく、全米スポーツ界の著名人になってしまったのだ。
挙げるとキリがないのでこの辺りで終わりにしよう。というより、あまりにも琢磨が多忙すぎて追いきれないのだ。なお、テキサスの翌日にはデトロイトに向い、また同じようにメディアアクティビティーを行っている。
「インディ500で優勝するってどの位凄いことなの?」こんな風に聞かれたら、ぜひこのページを見せてドヤ顔でこう言ってみてほしい。「インディ500で優勝するって、ホントにスゲーんだ!!」