F1アブダビGPの決勝レースを直前に控えたヤス・マリーナ・サーキットのグリッドの様子、2023年11月26日(日)
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最終決戦に舞い降りた「真のスポーツマン」フェラーリ対メルセデスによる”畏敬”の2位争い

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僅か4ポイントという差で最終アブダビGPにまでもつれ込んだフェラーリとメルセデスによるF1コンストラクターズ選手権2位争いは、チェッカーフラッグが振られるまで行方の分からない大接戦となった。

両チームは互いにコンストラクターズ選手権順位を入れ替えながらレース終盤に向かっていった。最初の鍵を握ったのはカルロス・サインツだった。

残り14周の時点で8番手を走行していたもののタイヤ交換義務を消化しておらず、もう1度ピットストップを行う必要があった。狙いは当然、セーフティーカーの導入だが、このギャンブルが実る事はなく、残り3周でピットイン。キープレイヤーから脱落した。

ヤス・マリーナ・サーキットでレースを戦うシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2023年11月26日F1アブダビGPCourtesy Of Ferrari S.p.A.

ヤス・マリーナ・サーキットでレースを戦うシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2023年11月26日F1アブダビGP

これにより逆転の期待は2番手を走行するシャルル・ルクレールが一手に背負うこととなった。首位を行くマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とは14秒差。追加のポイント獲得の可能性はなかった。

そもそもルクレールは、RB19をドライブする3度のF1王者に打ち勝つのは無謀だと考え、1周目の幾つかの仕掛けを除き、終始、タイヤマネジメントに徹底していた。

「たとえそこでマックスを追い越せたとしても、おそらく3周か4周後にまた追い抜かれていただろうし、最終的に僕の唯一の目標はメルセデスを倒すことだたから、タイヤのジュースをあまり失いたくなかったし、マックスとのバトルでタイムをロスしたくなかったんだ」(ルクレール)

追加得点の望みがない中、ルクレールはペースを落として後方のセルジオ・ペレス(レッドブル)に自身を追い抜かせ、4番手を走るジョージ・ラッセル(メルセデス)の前に意図的に後退する戦略をチームに提言した。ラッセルのポイント減額を狙ったわけだ。

ペレスはランド・ノリス(マクラーレン)との接触で5秒ペナルティを受ける予定だった。ルクレールはペレスとの間に壁となって立ち、自らとペレスとのギャップを5秒以内に保ちつつ、ペレスとラッセルとのそれを5秒以上に広げる画を描いた。

この戦略的判断についてルクレールはレース後、事前にチームとの間で議論されていたものではなく、ペレスの5秒ペナルティ裁定を経てレース中に思いついた案だったと明かした。

結果的にこの試みは1.21秒差で失敗した。ルクレールは「正直なところ、チームとしてこれ以上、上手くやれたことは一つもなかった」と述べ、予選、戦略、レース運びなど「あらゆる点で適切かつ信じられない仕事」をしたと語った。

2位表彰台に上がるシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2023年11月26日F1アブダビGPCourtesy Of Ferrari S.p.A.

2位表彰台に上がるシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2023年11月26日F1アブダビGP

終盤の争いについてメルセデスのトト・ウォルフ代表は「我々が大いに尊敬しているブランドとの間の畏敬の念を抱くほど素晴らしいバトル」であったと述べ、終盤のルクレールの走りは「真のスポーツマン」に値すると評価した。

ルクレールの狙いが成功していた場合、ラッセルは3位表彰台(15点)ではなく4位(12点)に留まる事になった。この場合、両チームは同一ポイントで並ぶが、コンストラクターズ選手権2位の称号は、サインツの活躍により今年、レッドブル以外で唯一優勝を飾ったフェラーリのものだった。

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