レッドブルF1、ホンダPU継続計画が破綻した場合はルノーとフェラーリのどちらを搭載する?
ホンダの資産を引き継いで”自前エンジン”で2022年以降のF1に参戦する事が最優先だとするレッドブルだが、この計画が破綻した場合、スクーデリア・フェラーリとルノーのどちらのパワーユニット(PU)を搭載するのだろうか?
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはホンダの後任PUについて、11月末までに解決策を見つけ出したいとしており、これからの2ヶ月間を通してホンダ側との間で協議を進めていくとしている。
仮に”ホンダ引き継ぎプロジェクト”が破綻した場合、現行PUサプライヤーと提携するか、あるいは新規参入メーカーに望みを繋ぐかの2つのオプションが考えられるが、新たな自動車メーカーの参戦を期待する事は、太陽が西から上り東に沈む事を期待する位に難しい。
“レッドブル”と”エンジン”という二つのキーワードから想起されるのは、ポルシェやアウディを傘下に持つフォルクスワーゲン・グループだ。V6ハイブリッド・ターボ導入時はもとより、ホンダのF1撤退が発表された今回もまた、ワーゲン参戦の憶測が流れた。
だがヘルムート・マルコはMotorsport-Magazinとのインタビューの中で、ドイツメーカーからの助け舟の可能性がゼロである理由を次のように説明している。
「第一には金銭的な理由だ。そして第二に、このエンジンはこの分野での経験とノウハウを持つ自動車メーカーでさえ、その場しのぎの成功を保証できないほど複雑なものであるという点が挙げられる」
新規参入メーカーの芽がないとすれば、残るのはメルセデス、フェラーリ、そしてルノーの現行PUサプライヤーとの契約だが、V6ハイブリッド時代の絶対王者として君臨するメルセデスは、供給リソースが限界に達しているとの理由で、レッドブルとアルファタウリへのPU供給の可能性を除外した。
ヘルムート・マルコはシュトゥットガルトの反応は予想済みであったとして「驚きはなかった」と言い切ったが、ホンダPUの継続使用の道筋が絶たれた場合、レッドブルはルノーとフェラーリのどちらにアプローチを掛けるのだろうか?
ヘルムート・マルコは「それに関してはもっと詳細に議論する必要がある。だが最優先事項はホンダのプロジェクトだ。ホンダとの間で解決すべき課題は多いが、その可能性がある限り、他の2社と具体的な話をするつもりはない」と述べ、断固としてホンダにこだわっていく考えを示した。
メルセデスのダブルタイトル6連覇という事実が示すのは、現行規約のもとでチャンピオンシップを狙うのであればシャシーとPUの完璧な統合が欠かせないという事だ。その点で”自前エンジン”は魅力的に聞こえるが、実現のためにはPU開発の完全凍結とホンダの合意を得る事の2つのハードルを乗り越える必要がある。
ヘルムート・マルコは、是が非でも”ホンダプロジェクト”を実現させるために、F1と国際自動車連盟(FIA)に対して開発の凍結を働きかけていく考えを明らかにした上で、開発の凍結が必要な理由を次のように説明した。
「このエンジンは非常に複雑であり、メンテナンスと組み立てだけですら十分に難しい。我々は今、(ホンダの資産を引き継ぎ運用していく上で)自分たちが何をすれば良いのかを目下調査している最中だが、さくら(HRD Sakura)のような技術センターがなければ、これ以上開発を進める事は不可能だ。我々はこれと同等のものを新しく建設するための資金を調達する事はできない」
レッドブルは恐らく、F1に対して撤退も辞さないという強硬姿勢でロビー活動を行うだろう。レッドブルはミルトンキーンズのチームに加えてアルファタウリという2チームをカードとしているだけに、F1へのプレッシャーが強烈である事は想像に難くない。