HRD Sakura(Honda Research and Development)は、ホンダレーシングの技術開発を行う製造・研究施設の事。2015年のF1復帰に際して栃木県さくら市に新設され、2014年から正式稼働した。F1をはじめとして、SUPER GTやWTCC、スーパーフォーミュラに関するプロジェクト業務を一手に引き受ける。
HRD Sakura建設以前は、宇都宮の量産車開発施設の一部門としてレース開発を行っていたが、F1復帰のために組織拡大の必要性に迫られ、500億円近い莫大な資金を投じて建設された。同敷地内には一周4kmのテストコースの他、売電事業のためのソーラー発電施設、同社の高級ブランド”アキュラ”専用の開発棟などが設けられている。
HRD Sakuraの主な業務
F1プロジェクトを統括する長谷川祐介によれば「HRDさくらの最も重要なミッションはパワーユニットの開発」だという。HRD Sakuraは日本におけるホンダF1の本拠地であり、従業員のおよそ8割はホンダF1のパワーユニット開発に携わっている。
- 設計
- 材料開発
- パワーユニット単体試験
- エンジン製造
- レース中のリアルタイム分析
- 必要部材の購買
- コスト・品質管理
HRD Sakuraをはじめとして、株式会社本田技術研究所の研究開発所は全国に10箇所存在している。
欧州拠点”HRD-UK”
F1エンジンの開発製造本拠地であるHRD Sakuraと対をなすのが、欧州は英国ミルトン・キーンズのファクトリー、HRD-UKだ。こちらは、現場で活動するエンジニアの拠点となっており、パワーユニット部門、ダイナモ部門、ERS部門、人事部門、そして広報部門を備えている。
立ち上げはF1参入1年前の2014年。当時は建物が1棟のみであったが、2016年に増築され2棟と拡大した。
ホンダのF1パワーユニットは基本的にHRD-Sakuraで開発が行われているが、バッテリー(ES︰エナジーストア)だけではHRD-UKが開発を担当している。日本から欧州に輸送する際の法規制などが理由だという。