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HRC Sakuraはホンダのレース技術開発を行う製造・研究施設で、2015年の第4期F1活動に際して栃木県さくら市に新設され、2014年に正式稼働したHRD Sakura(Honda Research and Development)を前身とする。F1を含む四輪モータースポーツ部門がHRC(株式会社ホンダ・レーシング)に統合された事を受け、2022年4月に「HRC Sakura」へと改称された。

以前は宇都宮の量産車開発施設の一部門としてレース開発を行っていたが、F1復帰のために組織拡大の必要性に迫られ、500億円近い莫大な資金を投じて建設された。同敷地内には一周4kmのテストコースの他、売電事業のためのソーラー発電施設、同社の高級ブランド”アキュラ”専用の開発棟などが設けられている。

HRC Sakuraの主な業務

F1やSUPER GT、スーパーフォーミュラを含めた四輪モータースポーツの技術開発が行われている。第4期F1プロジェクト当時、従業員のおよそ8割はF1パワーユニット(PU)開発に携わっていた。

  • 設計
  • 材料開発
  • パワーユニット単体試験
  • エンジン製造
  • レース中のリアルタイム分析
  • 必要部材の購買
  • コスト・品質管理
  • メンテナンス

HRD Sakuraをはじめとして、株式会社本田技術研究所の研究開発所は全国に10箇所存在している。

欧州拠点”HRD UK”

F1エンジンの開発製造本拠地であるHRD Sakuraと対をなしていたのが、欧州は英国ミルトン・キーンズのファクトリー、HRD-UKだった。パワーユニット部門、ダイナモ部門、ERS部門、人事部門、そして広報部門を備え、現場で活動するエンジニアの拠点として使われていた。

立ち上げはF1参入1年前の2014年。当時は建物が1棟のみであったが、2016年に増築され2棟と拡大した。

F1のPUは基本的にHRD Sakuraで開発が行われていたが、バッテリー(ES︰エナジーストア)だけではHRD UKが開発を担当していた。バッテリーには可燃性が高いリチウムイオン電池が使われており、国際輸送に関して国連勧告輸送試験UN38.3に合格する事が求められるなど制約が厳しい事がその理由だった。