ホンダF1、2戦連続でのメルセデス衝突に”フラストレーション増大”…レッドブル首位陥落
シーズン前半戦終了間際の2戦において、メルセデスによる立て続けの衝突事故の煽りを受けた事に、ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターのフラストレーションは増大した。
ハーフウェットの1周目、蹴り出しに失敗して後退した2番グリッドのバルテリ・ボッタスがタイヤをロックさせてランド・ノリスに接触。この衝撃でマクラーレンMCL35Mがフェルスタッペンを、メルセデスW12がセルジオ・ペレスを直撃した。
ペレスは即時のリタイヤを強いられた。フェルスタッペンは辛うじて生き残ったものの、その後の赤旗中断を利用しても完全に修復する事ができないレベルのダメージを負い、10位フィニッシュするのが精一杯だった。
順位 | ドライバー | チーム | 差 | 点 |
---|---|---|---|---|
5 | ガスリー | アルファタウリ | +63.614s | 11 |
6 | 角田裕毅 | アルファタウリ | +75.803s | 8 |
9 | フェルスタッペン | レッドブル | +80.244s | 2 |
NC | ペレス | レッドブル | DNF | 0 |
70周に及んだ長き戦いを終えて田辺豊治テクニカル・ディレクターは「ハンガリーGPの決勝レースはレッドブル・ホンダにとって、先日のイギリスGPと同じ様に他車とのクラッシュが発生した事で、非常にフラストレーションが溜まる結果となりました」と振り返った。
「ペレス選手はスタート直後のターン1で発生した多重クラッシュに巻き込まれ、マシンのダメージが余りに大きかったためにそのままリタイアとなりました。またフェルスタッペン選手も車体に大きなダメージを負いました」
「赤旗中断中にメカニックが懸命に修復作業を行った結果、フェルスタッペン選手は傷ついたマシンながらも懸命にプッシュして10位入賞し、チームにとって貴重な1ポイントを獲得してくれました。これが唯一の救いです」
なおレース後の審議を経て、2位フィニッシュのセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)が失格処分となった事から、フェルスタッペンは9位に繰り上がっている。
前戦イギリスではルイス・ハミルトンがフェルスタッペンに接触。リタイヤを強いられた挙げ句、厳しい予算上限が科される中、日本円にして2億円近い損害が発生し、更にはパワーユニットにクラックが確認されたため、決勝に向けて急遽パワーユニット交換を余儀なくされた。苛立ちが募るのも全く無理はない。
更には今回の接触事故の影響でペレスまでもがパワーユニット交換の危機に立たされている。
物議醸すシルバーストンでのクラッシュに続く不運により、ここ2戦での獲得ポイントは僅か2点に留まり、フェルスタッペンとレッドブル・ホンダは、選手権首位の座をハミルトンとメルセデスに明け渡す結果となった。
シニアチームが壊滅的被害を被った一方、アルファタウリ・ホンダとしてはピエール・ガスリーが同様に後退を強いられるも、混乱を掻い潜った角田裕毅が大きなゲインを得た。
「アルファタウリ・ホンダの2台はクラッシュによる混乱を上手く回避すると、その後のレースを粘り強く走ってガスリー選手が6位(5位昇格)、角田選手が自身2度目となる7位入賞(6位昇格)を果たしてくれました」と田辺豊治テクニカル・ディレクターは続ける。
「コンストラクターズ・チャンピオンシップでのポジションは落としてしまったものの、激戦が予想される後半戦に向けて、二人ともが中段グループを争うチームにとって貴重なポイントを持ち帰ってくれました」
「ここからF1はサマーブレイクを挟み、8月の末からの後半戦に向かいます」
「前半戦を良い形で締め括れず残念ですが、前半戦の反省をしっかり行い、また心身をリフレッシュさせて休み明けの闘いに備えたいと思います」
「最後に、初優勝を果たしたオコン選手、またチームとしての初優勝を獲得したアルピーヌに祝福の言葉を贈りたいと思います」
8月1日(日)にハンガロリンクで行われた2021年F1第11戦ハンガリーグランプリ決勝レースでは、2番グリッドからスタートしたエステバン・オコン(アルピーヌ)が7台リタイヤの大混乱のレースを制してキャリア初優勝を飾った。
レース後のセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)に対する失格処分を経て、2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位はカルロス・サインツ(フェラーリ)という結果となった。
スパ・フランコルシャンを舞台とする次戦ベルギーGPは8月27日のフリー走行1で幕を開ける。