ルノーからの契約オファーを辞退していたニコ・ヒュルケンベルグ
ルノー・スポールのノン・エグゼクティブ・ディレクターを務めるアラン・プロストは、ニコ・ヒュルケンベルグに対して2020年の単年契約をオファーしたものの、断られたと明かした。ルノーは第13戦ベルギーGPを前に、2020年シーズンのダニエル・リカルドのチームメイトとして、エステバン・オコンと2年契約を結んだ事を発表した。
来季シートが未定となったヒュルケンベルグに関しては、ケビン・マグヌッセンのチームメイトを模索するハースF1が興味を示しているものの、ヒュルケンベルグ側のターゲットはレッドブル・ホンダのシートだとも噂されており、クリスチャン・ホーナーはその可能性を除外していない。だが実際には、ヒュルケンベルグは自身が望みさえすれば、2020年もルノーに留まる事ができた。
シートを失った事についてヒュルケンベルグは、オコンの国籍、つまりフランス出身であるオコンを同じフランスを拠点とするチーム上層部が重んじたのではないかと仄めかしているが、これに対してシリル・アビテブール代表は否定。アラン・プロストもまた、国籍は重要な評価基準ではないと語り、地元テレビ局Canal+でのインタビューの中で、交渉が決裂したのは、双方の求める契約期間が異なっていたためだと明かした。
「オコンがフランス人である点はプラスではあるが、それを決定の要因とすることは理に適っていない。我々はニコ・ヒュルケンベルグに対して、2021年のオプション付きの1年契約をオファーしたが、彼はオプションではなく2年契約を望んでいた。これが決定的だった」
「細かく説明する必要はないだろうが、ニコはルノーのために甚大な貢献を果たしてくれた。だが(ヒュルケンベルグ加入から)3年が経ったものの、我々は当時望んでようなレベルの改善を達成できておらず、彼はその事に気づいていた」
「我々としては、(ヒュルケンベルグよりも)熱意に溢れるフレッシュな人材を必要としていた。エステバン・オコンは、チームにまったく新しい勢いをもたらしてくれる」
実際のところプロストは、ルノーへの加入は弱冠22歳のオコンに余計なプレッシャーを与えかねないと考えており「フランス人ドライバーがフランスチームに加わる事は必ずしも簡単なことではない。私はそれを経験しているから分かるがね。全く簡単なことではない」とも述べている。
プロストは1981年にルノーへと移籍。3シーズンを過ごしたが、最終年の83年に僅か2ポイント差でチャンピオンを逃した一件で、チーム首脳陣からスケープゴートにされ、最終南アフリカGPが終わるや否やチームから解雇された。フランス国内からのバッシングも酷く、所有していた自動車を燃やされるなど、あまり良い思い出を持っていないようだ。