ガレージの前で話をするレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス、2023年5月5日F1マイアミGP
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フェルスタッペンとペレスのF1王座争い「パラノイア」阻止に腐心するホーナー、本当に厄介と忠告するウォルフ

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所属ドライバーのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスが激しいF1タイトル争いを繰り広げる中、チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「パラノイア」が生まれる余地を排除すべく腐心しているという。

ドライバーズ・チャンピオンシップ首位に立つのは選手権3連覇を狙うフェルスタッペンだが、ペレスは第4戦アゼルバイジャンGPでスプリントと決勝の両レースで優勝し、第5戦マイアミGPを前にチームメイトとの差を6点にまで縮めた。

表彰台の上で優勝トロフィーを掲げるセルジオ・ペレス(レッドブル)、2023年4月30日F1アゼルバイジャンGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

表彰台の上で優勝トロフィーを掲げるセルジオ・ペレス(レッドブル)、2023年4月30日F1アゼルバイジャンGP決勝レース

徹底的に平等を期す事が重要、とホーナー

チームメイト同士のタイトル争いについて、マイアミでの初日1回目のフリー走行を経てホーナーは「まず第一に、これは贅沢な問題だと思う。ピットレーンにいるどのチーム代表も、こうした状況にありたいと思うはずだ」と語った。

「こうした状況を経験するのは今回が初めてではないが、最も重要なことはパラノイア(被害妄想)が入り込まないようにすること、両ドライバーが平等に扱われるようにすることだと思う」

フェルスタッペンはバクーでのチームメイトに対する敗北を経て、ペレスの仕事を称賛するなど寛大な態度を示したが、昨年のサンパウロGPではチームオーダーを巡って険悪なムードを漂わせており、その関係は常にスムーズだったわけではない。

マイクを握るレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表、2023年5月5日のF1マイアミGP金曜記者会見にてCourtesy Of Red Bull Content Pool

マイクを握るレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表、2023年5月5日のF1マイアミGP金曜記者会見にて

互いに相手の方が有利に扱われていると疑心暗鬼になるような状況を避けるためには、予選での出走順やブリーフィングでの発言順を週末ごとに交代するなど、あらゆる場において徹底的に平等を期す事が重要だとホーナーは考えている。

「互いに対等だと納得させる事ができれば、最終的にはドライバー達自身のサーキットでの仕事次第という事になる」とホーナー。

「チーム内の2人のドライバーによるチャンピオン決定戦において重要な役割を果たすべきは、例えば信頼性といったものではなく、コース上でのパフォーマンスである事が望ましい」

本当に厄介、と忠告するウォルフ

チームメイト同士のタイトル争いと言えば、2016年のニコ・ロズベルグ対ルイス・ハミルトンが記憶に新しい。最終的にロズベルグの戴冠と電撃引退、友人関係の崩壊へと至ったこの争いに神経をすり減らしたのはメルセデスのトト・ウォルフ代表だ。

レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表とメルセデスのトト・ウォルフ代表、2023年5月5日のF1マイアミGP金曜記者会見にてCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表とメルセデスのトト・ウォルフ代表、2023年5月5日のF1マイアミGP金曜記者会見にて

ホーナーとレッドブルが直面している事態についてウォルフは、過去の経験から「本当に厄介な仕事だ」と忠告する。

「なぜならいずれのドライバーも自分たちが公平かつ平等に扱われていると常に感じようとする一方、相手に対して優位に立とうとするからだ」

「我々の場合は透明性を保ち、明確にし、レースに向けて日曜に話し合い、境界線を設ける事が重要だった」

「最終的にニコとルイスはチームの意見を尊重し、我々は2人の間のバトルを認めた」

「今にして思えば、特に2016年に関しては別のやり方もあったかもしれないとも思うが、2人によるタイトル争いを認める事と、同じチームであるという事、そしてそれはより大きな構造の一部であるという事とのバランスを適切に取る事は、必ずしも簡単なことではないと思う」

「なぜならドライバーは競争心に溢れる獣なわけだからね」

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