ホンダF1の田辺豊治テクニカル・ディレクター
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ホンダF1、挽回に向け課題山積「エンジンの出力不足だけでなく、エネルギーマネジメントも大きな問題」

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マクラーレンとの負の歴史を払拭すべく現場と開発部門の両方の人事を一新、スクーデリア・トロロッソとの4戦目の戦いを終えたホンダは、エンジンの出力不足だけでなく、エネルギーマネジメントも大きな課題であると考えており、挽回に向けて課題が山積している。

アゼルバイジャンの首都バクーの市街地で行われた超高速の2018年シーズン第4戦では、ピエール・ガスリーが12位完走、ブレンドン・ハートレーが10位入賞を果たし、2戦ぶりのポイント獲得となった。だが、レッドブル勢の同士討ちをはじめとするライバル勢の脱落なくして、このポジティブなリザルトが成し得なかったのは疑いない。

F1初のチャンピオンシップポイントを得たハートレーはレース後、終始ペース不足に苦しんでいたと述べ、改善の必要性を強調。漁夫の利を得る形で6周目に7番手にまで順位を上げたガスリーは、直近のライバルと比べ2秒近く遅いラップしか刻めず、13周目にはスタートポジションの17番手に舞い戻ってしまった。ガスリーはその状況を次のように説明している。

「一周目に17番グリッドからトップ10に入る事ができたんだからスタートは本当に良かったよ。でも、その後はポジションを守るのが本当に厳しかった。後続のマシンから順位を守れず、ストレートで次々にオーバーテイクされてしまった」

アゼルバイジャンGPの決勝レースを終えたホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、ストレートでの速度不足のみならず、ERSを含めたパワーユニット全体のエネルギーマネジメントの改善が必要であるとの認識を示した。

「このような荒れた展開の中、2台が生き残って完走を果たし入賞したことは良かったと思います。ですが、ストレートスピードが伸びず苦戦した部分がありました。パワーで劣っていることは分かっていますが、エネルギーマネジメントについても、セットアップ面とレース中のオペレーション面での差が大きく出たとも感じています。課題は多く、まだまだやることがたくさんあるという状況です」

ガレージ内で作業するホンダのエンジニア
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1.6リッターV6ハイブリッドターボ導入以降のF1パワーユニットにおいては、燃費とエネルギーマネジメントが速さを決定づける重要な要素となった。燃料使い放題の時代は終焉を迎え、MGU-HMGU-Kから成る回生システムの付加エネルギーをどのように回生、組み合わせ、また出力するかという総合的な統合能力が問われている。

バーレーンGPで4位入賞の快挙を果たして以降、STR13はそのポテンシャルを発揮できずにミッドフィールド後方に甘んじ続けている。パワーユニット面の課題は明確になりつつあるようだが、車体側の問題は依然としてクリアにはなっていない。

第3戦中国GPでのリタイヤと18位という不甲斐ない結果を受け、チーム代表のフランツ・トストはアゼルバイジャンでのレースまでにペース不足の原因を究明するよう指示。だが、田辺によればデータ解析によってある程度は不振の原因を絞り込めているものの、完全な特定には至っていないという。

F1はいよいよ本拠地ヨーロッパに戦いの舞台を移す。次戦F1スペインGPは実質的な開幕戦とも称され、各チームともにライバルに打ち勝つべく大幅なアップグレードを投入する。トロ・ロッソとホンダはシーズン第二ラウンドで好スタートを切れるだろうか?