ホンダ製F1パワーユニット「RA617H」
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ホンダF1:エンジン開発を加速、無敵を誇った80年代の盟友 IHIとのテクニカルパートナーシップ締結を発表

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本田技研工業株式会社は11月13日、F1パワーユニットに搭載されるターボチャージャーの開発・製造に関わる技術協力体制を強化。2019年シーズンからの2年間に関して、株式会社IHIとテクニカルパートナーシップ契約を締結した事を明らかにした。

東京都江東区に本社を構えるIHIは創業以来、造船や蒸気タービンをルーツとして培った「回転機械技術」に関し高い技術と専門性を有しており、ホンダがF1で無敵の強さを誇った1980年代にも旧石川島播磨重工業株式会社としてターボを供給していた。IHIとホンダのF1エンジン開発拠点「HRD Sakura」は、これまで以上に密接に連携し合い、最高峰フォーミュラ1でのチャンピオン獲得を目指していく。

ホンダの執行役員ブランドコミュニケーション本部長を務める森山克英は「今回の関係強化がホンダ製F1パワーユニットのさらなる性能向上に繋がる」とコメント。勝利を目標にチャレンジを邁進していくと力強く語った。

ホンダは2015年に1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンが導入された2014年に遅れる一年、2015年にF1に復帰。IHIとは復帰当初からターボチャージャーに関する協業を進めてきたものの、今回の契約締結によりパートナーシップを強化。パワーユニットの競争力のさらなる向上を目指して開発を加速する。

IHIは1853年創設の日本初の近代造船所「石川島造船所」を起源とし、造船で培った技術をもとに陸上機械や航空エンジンなどに事業を拡大。グローバルビジネスを強化するために2007年に社名を「IHI」に変更し誕生した。2001年にはメルセデスの親会社であるダイムラーと共に、高性能ターボチャージャーを開発・製造する合弁会社をドイツに設立。その後2013年1月に、ダイムラー出資分の49%を引き受け100%子会社化した。

株式会社IHIの産業システム・汎用機械事業領域副事業領域長および車両過給機SBU長を務める川崎義則執行役員は「世界最高のエンジンサプライヤーの一つであるHondaと、世界最高峰のレース活動においてテクニカルパートナー契約を締結できることを嬉しく思います」との声明を発表した。

「双方がテクニカルパートナー契約の理念に則り、パワーユニットが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、ターボチャージャーの開発を加速させていきます。来シーズン以降、輝かしい戦績を残した第2期Honda F1レース活動のように、IHI製ターボチャージャーを搭載したHonda製パワーユニット搭載車両の活躍に全世界が熱狂するシーズンとなりますことを、大いに期待しております」

現在のF1では従来のエンジンに該当するICEにターボチャージャーを加え、これにエネルギー回生を司るMGU-H(熱エネルギーを回生)とMGU-K(運動エネルギーを回生)を組み合わせたハイブリッドエンジンが使われている。ホンダの他に、メルセデス、フェラーリ、ルノーの欧州3メーカーがF1エンジンを供給。開発においてはメルセデスとフェラーリが先行しており、ホンダはこれを追う立場にある。

ホンダは、三重県鈴鹿サーキットで開催された先月の日本グランプリで最新型のエンジンを投入。ICEの燃料効率の改善によって大幅な馬力向上を果たした。これによりルノーとの勢力図が逆転。来シーズンは強豪レッドブル・レーシングとの提携が決定しており、優勝争いへの復帰に向けて有望なパフォーマンスを示し始めている。