レッドブルの提携を受け記念撮影に臨んだエイドリアン・ニューウェイ、ヘルムート・マルコ、山本雅史、クリスチャン・ホーナー、田辺豊治
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ホンダF1、レッドブルとの勝利を目標に掲げ「スペック3と来季エンジンを並行開発」

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来年から強豪レッドブル・レーシングにパワーユニット一式を供給するホンダは、レースでの勝利を目標に掲げ、スペック3エンジンと来季用エンジンを並行開発していく。

ホンダは6月初旬に開催された第7戦カナダGPで、スペック2と呼ばれる新しいパワーユニットを投入。1周あたりコンマ3秒、推定20馬力の性能向上を果たしたとみられており、最新版エンジンは直近のライバルであるルノーと遜色ないレベルに達しつつある。

2018年シーズンの最終スペック3エンジンは、夏休み明けの初戦となる第13戦ベルギーGPあたりで投入されるものとみられており、現在日本のHRDさくらで開発が進められている。ホンダのモータースポーツ部長を務める山本雅史は次のように語り、既に来シーズン用のエンジン開発に着手している事を仄めかした。

「スペック3の詳細作業に取り組むのは勿論ですが、それと同時に来シーズンの新しいエンジンについても集中的に取り組んでいきます。今年のエンジン仕様はほとんどすべて今年向けに設計されているため、今シーズン後半は来年の仕様開発に重点を置くことになります」

今季RA618Hは、信頼性を重視すべく昨年のエンジンコンセプトを継承しており、あくまでも今シーズン用に設計されたエンジン。レッドブルとトロロッソの2チームに供給する事になる来季のエンジンは、今季用とは別に設計する必要があるのだという。

昨年圧倒的な速さを見せつけタイトルを手にした王者メルセデスですら、今季型の「M09 EQ Power+」エンジンは完全な新設計。正常進化版で太刀打ちできるほどF1の世界が甘くない事を思えば、来シーズンのホンダエンジンも抜本的に一新されるのだろう。

山本は「我々の次のステップはレースでの勝利であり、レッドブルと手を組むことが正しい選択であると確信しています」と述べており、「RA619H」と名付けられるであろう来季エンジンは、優勝を目指すためのエンジンという事になる。

前任の長谷川祐介総責任者はかつて、ゼロベースで作られた昨年型のパワーユニットの設計に1年近くを投じた事を明らかにしている。燃焼システム等の肝になる部分は特に検証作業に多くの時間がかかるため、実戦納入するまでに膨大な時間が必要なのだという。今から開発をスタートさせているようでは間に合わない、というわけだ。

順調に性能を向上させつつある一方で、ホンダのスペック2は信頼性に不安を抱えている。最新版が投入されたフランスGPではピエール・ガスリーのマシンがトラブルに襲われ、その次のフランスGPではブレンドン・ハートレーのマシンにエンジントラブルが発生した。

原因究明中とのことで現時点では詳細は明らかとなっていないが、ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、両トラブルは別々の原因によって引き起こされた可能性があると述べており、解決が長引く事もあり得る。