2018年仕様のホンダ製F1パワーユニットRA618H
Courtesy Of Honda

Hondaスペック4エンジンの実戦投入はイタリア…日本GPに向け、ロシアでは新燃料をテスト

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ホンダF1の今季型パワーユニット「RA619H」の4世代目となるスペック4エンジンが、モンツァ・サーキットで開催される第14戦イタリアGP(9月6日~8日)で実戦投入される見通しである事が明らかになった。

更に、10月13日に開幕を迎える日本グランプリを前に、ロシアGPでは、エクソン・モービルによる新型燃料が投入される計画だという。ホンダはソチ・オートドロームでのデータを元に、セッティングとオペレーションを熟成させ、翌戦に控えるお膝元鈴鹿で、2019シーズンの最終形態を明らかにする。

当初は、スパ・フランコルシャンで開催される第13戦ベルギーGPでの投入の可能性もあったが、最終的にイタリアに落ち着いたようだ。モンツァはエンジン全開率が80%を超えるパワーサーキット。独メディアの報道によれば、スペック4は25馬力のパワーアップが見込まれているといい、メルセデスに匹敵すると予想する向きもある。

「我々は、モンツァで新しいエンジンアップグレードを、そしてロシアでは新しい燃料を得ることになる」と語るのは、レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコだ。第11戦ドイツGPを終えて、auto motor und sportとのインタビューの中で、エンジン側のアップデート計画を明かした。

「これによってエンジンをアンロックさせる事が出来るはずだ。それに、(それまでには)車体側にも多くのものがもたらされる予定だ。だから(メルセデスと肩を並べるには)もう少し時間が必要だ」

レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表のヘルムート・マルコ、F1イギリスGP決勝レース前
© Getty Images / Red Bull Content Pool、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表とヘルムート・マルコ

現行の1.6リッターハイブリッド・ターボエンジンにおいて、燃料アップグレードによるパフォーマンス向上は侮れない。フェラーリに燃料を供給するシェルによると、フェラーリが2017年から2018年に果たした改善の内の21%は、オイルと燃料に由来するものであったというから驚きだ。

最大限の馬力を絞り出せば、それだけエンジンに高い負荷が加わり、信頼性が損なわれる事になる。エクソン・モービルの使命は、最大限のパワーを引き出せる燃料を開発すると共に、高い保護性能を持つオイルを作り出すことで、ホンダが実戦で使えるパワーレベルを引き上げることにある。

マックス・フェルスタッペンはドイツGPで今季2勝目をマーク。バルテリ・ボッタスに対して22ポイント差まで詰め寄り、ドライバーズランキング2位を射程圏内に捕らえているが、年間タイトルに関しては「メルセデスとの差は途方もない」として、依然としてシルバーアローが今季最有力候補だと主張している。

だがヘルムート・マルコは、ホンダのスペック4と新開発の燃料によって「レッドブルはメルセデスとのギャップを埋められるはず」と考えており、フェルスタッペンが今シーズンのチャンピオンとなる可能性を除外していない。

シーズン序盤、レッドブル・ホンダのドライバー達は、RB15のバランスの悪さに苦戦し、困難なドライビングを強いられていた。スペック3が投入されたフランスGPでは、コース特性的に車体側のアップグレードが機能せず、また、ホンダも保守的なスタンスでエンジンを走らせたため、目立った成果には繋がらなかった。

だが、全てをまとめ上げたオーストリアでは、コース上の真っ向勝負でフェラーリとメルセデスを打ち破り今季初優勝。非常に暑いコンディションとなったことで、メルセデスがオーバーヒートによって本来の力を出せなかったのは確かだが、ヘルムート・マルコの言葉を借りれば「冷却も車体パッケージの一部」であり、それも実力だ。

イギリスでは、セバスチャン・ベッテルの追突事故がなければ2位表彰台の可能性があった。そしてホッケンハイムでは、メルセデスの自滅がフェルスタッペンの2勝目を手助けした側面は否定できないものの、ヘルムート・マルコに言わせれば「我々からのプレッシャーに負けた結果のミス」でしかない。

新燃料を得た鈴鹿スペシャル「ホンダスペック4」は、絶対王者メルセデスに何処までプレッシャーをかけられるだろうか。その答えは10月の鈴鹿で明らかになる。

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