スタッフと4位入賞を喜ぶホンダF1の田辺豊治
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ホンダF1、4位入賞に浮かれず「目指すは優勝」気を引き締める

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シーズン2戦目のF1バーレーンGPで4位入賞を果たしパドックの驚きを誘ったスクーデリア・トロロッソだが、ホンダF1の田辺豊治テクニカル・ディレクターは「目指すは優勝、4位で満足しているわけではない」と述べ、この結果に甘んじることなく当初の目標に向かって邁進し続ける事を誓った。

レースを振り返った田辺は、安堵感に満ちた表情を浮かべながらも「我々は優勝を目指しているわけで4位で満足とは言えません。まだまだです」と述べ、気を引き締めた。ただし、中堅チームにとって優勝にも等しいこの好結果を喜ばない理由はない。

チーム代表のフランツ・トストは「Toro Rosso Hondaの新しい歴史の始まりだ」と希望に満ちた目の輝きをみせ、今回のレースのベストドライバーに選出された主役ピエール・ガスリーは「ホンダは著しい進化をみせた。間違いないよ。正確に比較するのは難しいから、数字でどうこう言いたくはない。でも相当大きなステップだよ」と満面の笑みで語った。

持ち込んだ空力アップグレードと、より最適化されたマシンセットアップが功を奏し、バーレーンのコース特性にピタリとハマったSTR13は、予選、決勝ともに予想以上の結果をもたらした。4位でチェッカーをくぐり抜けたガスリーはチーム全員から胴上げで祝福された。トロ・ロッソのクルーにもホンダのスタッフにも満面の笑みがこぼれた。2015年のF1復帰以来最高位という結果と、最悪の開幕戦から挽回してみせた喜びの笑顔であった。

ガスリーは金曜初日のフリー走行から一貫した速さをみせ、全セッションでトップ10に名を連ねてみせた。2台のマシンには改良されたMGU-Hとターボチャージャーが、そしてガスリー車には新しい内燃機関(ICE)が投入されていたが、あくまでも開幕戦のトラブル対策品であり、大幅な性能向上をもたらすものではなかった。

圧巻の信頼性を発揮したままに冬のテストを終えたホンダエンジン、あろうことか長いシーズンの初戦でMGU-Hが故障しガスリーをリタイアへと追いやった。年間3基までの使用制限が科せられているにもかかわらず、僅か2戦目にして2基目の投入という、あまりにも不甲斐ない結果で開幕戦を終えた。

原因についての詳細は明かされていないものの、今回のトラブルは昨年までホンダを苦しめたものとは異なる「重大なもの」であったとされる。それだけに、ホンダとしてはまずは2台揃っての完走がバーレーンでの第一目標であった。田辺は「もちろん4位という結果は嬉しい事ですが、なによりも2台完走という目標を達成できた事が本当に嬉しいです」と本音をこぼしている。

傍から見える表面的な結果とは裏腹に、内部的には2台完走の方が大きな意味を持っていたという事実は、今のトロロッソ・ホンダの立ち位置を推し量る上で極めて重要だ。表彰台に限りなく近い4位という好結果は、数字だけが独り歩きしてしまいがちであるが、そんなに甘くないのがフォーミュラ1。

ルノーやハース、マクラーレンといった中団勢トップグループとの争い打ち勝つのは並大抵の事ではなく、フェラーリ、メルセデス、レッドブルの背中は遥か彼方にある。トロロッソ・ホンダにとっては、この良い流れをキープし全てのグランプリで安定的にリザルトを残せるかどうかが重要であり、真の戦いは次戦中国GPから始まる。

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