F1日本グランプリの金曜記者会見に出席したホンダの山本雅史MS部長とスクーデリア・トロロッソのフランツ・トスト代表
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ホンダF1、組織と供給体制を変更「頂点を目指すために必要不可欠」

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4月1日付けでホンダF1マネージングディレクター職への就任が発表された山本雅史MS部長は、組織変更について「F1に対するコミットメントの強化の現れ」だと強調。レースと勝利へのこだわりと共に「頂点を目指して新たなスタートを切る心づもり」だと述べた。

ホンダはスクーデリア・トロロッソに加えて、今季より、ビッグ3の一角とされる強豪レッドブル・レーシングへのパワーユニット供給を開始。組織だけでなく供給体制も変わる。ホンダとしては2015年のF1復帰後初の2チーム4台体制となるが、これはトロ・ロッソとの契約交渉時から既に、レッドブル側との間である種の合意事項になっていた事だという。

「スクーデリア・トロロッソとの契約の際からヘルムート・マルコさんと話をさせて頂いてきましたが、その当時から、頂点を目指すためには2チーム4台体制が必要不可欠だと考えていました」と山本部長。開幕オーストラリアGPを1週間後に控えた3月9日、東京都内で開催されたキックオフ記者会見でこのように述べた。

両者が初めて公式の話し合いの場を持ったのは2017年のイタリアGPであったが、3戦前のイギリスGPの際に、シルバーストン・サーキット近くのマクドナルドで、モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコと密談。この時既に、提携に向けての下地が作られていた。

“フライドポテト会談”を振り返った山本部長は、ヘルムート・マルコは「純粋にモータースポーツを愛している人物」であり、率直な話し合いをする事が出来たと語った。マクラーレンとの決別が確定したホンダは、トロロッソとの間でエンジン供給契約を締結。それは、同じグループ内の格上レッドブルとのパートナーシップ締結を念頭に置いたものであった。

現在のF1では、事実上の”Bチーム”を持つ事が勝利のためのロールモデルとなりつつある。フェラーリとハースに象徴されるBチーム戦略は今やグリッドを席巻しており、プライベーターは少ない資本で高効率なチーム運営が可能になる一方、トップチームは開発面でアドバンテージを得る、いわゆるウィン=ウィンの構図が確立しつつある。

ホンダのライバルであるルノーのシリル・アビテブール代表が「Bチームを所有していなければ勝てない時代が到来する」と予見するように、単一チーム体制でチャンピオンシップを制する事は年々困難になりつつある。レッドブルとトロロッソは、ホンダを共通のパワーユニットパートナーとして、フェラーリやメルセデスに対抗しうる唯一の体制を築く事となった。

当会見には、レッドブル・レーシング側からヘルムート・マルコが登壇。「自動車産業界を代表するビッグブランドであるホンダと提携出来た事を本当に誇らしく思っている」と切り出したマルコは、”トロロッソ・ホンダ”としての1年間の活動を踏まえた事で、レッドブルはホンダパワーユニットへの切り替えを問題なく進められたと語った。

「ホンダからのサポートを受けて、今年のために万全の準備を整える事ができた。トロ・ロッソは既にホンダとの協業を経験しているため、(グループとしては)レッドブルは全く新しい状況を迎えたわけではない。我々はトロ・ロッソの経験を元にホンダへの理解を進めて、今シーズンに向けて綿密な準備を進めてきた」

「コミュニケーションも良好で、互いにエンジン及びシャシーに関するアイデアを交換し合っている」