
ハーバート激白「特定の人物がFIAに圧力をかけた」F1スチュワード解任の裏に何が?
2025年シーズンを前にF1レーススチュワードを解任された件について、ジョニー・ハーバートは「特定の人物」による国際自動車連盟(FIA)への圧力があったと主張した。
スチュワード解任の背景
F1の統括団体であるFIAは先月、「FIAスチュワードの職務とメディア解説者としての彼の活動は相容れない」としてハーバートを解任した。
ハーバートはオンライン賭博サイトと提携し、当該サイト上でレース裁定に関する個人的な見解を提供していた。この行為は、FIAスチュワードの公正性に疑念を抱かせるものとされ、問題視された。
また、ハーバートがスチュワードを務めた2024年F1メキシコGPでは、マックス・フェルスタッペンが2度の10秒ペナルティを受ける裁定が下された。
この件に関し、フェルスタッペンの父ヨスは「特定のドライバーやチームに肩入れする元ドライバーがスチュワードに選ばれている」と批判し、「FIAは人選を見直し、利益相反の有無を確認すべきだ」と非難していた。
ハーバート「解任は外部圧力が理由」
ハーバートは、オンライン賭博関連メディアとのインタビューで、「FIA会長のモハメド・ベン・スレイエムに対し、私を解雇するよう特定の人物が働きかけた。これはFIA内部の決定ではなく、外部からの“おしゃべり”が影響を与えた結果だ」と主張した。
また、解雇の経緯については「2024年シーズンを通じてFIAと協議を重ね、私の職務は了承されていた。2025年も続投する予定だったが、突然の電話で解雇を告げられた」と振り返った。
「指を指して特定の誰かを非難するつもりはない。ただ、明らかにFIA会長に影響を与えた人物がいるということだ」
バイアス批判に反論「馬鹿げた主張だ」
ハーバートは、自身がイギリス人であることから「イギリス人ドライバーを贔屓(ひいき)している」との批判を受けていることに対し、「馬鹿げている」と一蹴した。
「フェルスタッペン親子は、私が“偏見を持っている”とほのめかしているが、それを聞くたびに思うんだ。『私はイギリス人だから、ルイス(ハミルトン)やジョージ(ラッセル)、ランド(ノリス)を応援してはいけないのか?』と。そんなの馬鹿げている」
さらに、「でも、逆の立場では許されるらしい。オランダ人がイギリスのファンや関係者を非難するのは問題ないとされる。それはフェアではないはずだ」として、ダブルスタンダードが存在すると指摘した。
また、「解雇されたことは残念だったし、当時はショックだった。でも私は常に公平に仕事をしていたし、特定の誰かに偏った判断をしたことはない」とも述べ、FIAを去ったことに未練はないものの、疑問を感じていることを強調した。
スチュワードとしての公平性については「私はルールとガイドラインに従い、他の3人のスチュワードと共に決定を下していた。個人的な感情でペナルティを与えることなどあり得ない」と主張した。
FIAの「統制強化」に懸念
ハーバートは、FIAが近年、より強権的になっているとも指摘した。
先月末に開催されたFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)では、主要メンバーのロバート・リード(FIA副会長・スポーツ担当)とデイビッド・リチャーズ(英国代表)が会議への参加を拒否される異例の事態が発生した。
この背景には、FIA会長モハメド・ベン・スレイエムの指示による新たな機密保持契約(NDA)の導入があるとされる。
新NDAは従来よりも厳格で、FIAに関連する事項を公式会議以外で議論することを禁止する内容が含まれていた。リードとリチャーズはこの契約に異議を唱え、署名を拒否したため、会議への出席が認められなかったと報じられている。
ハーバートは、この件について「FIAは以前よりも支配的になり、強硬な手法を取るようになっている」と警鐘を鳴らした。
「NDAや機密保持契約はFIAの通常のやり方ではなかった。しかし、それが今や当たり前になりつつある。より強権的な支配体制が進んでいるように見える」