マクラーレンのルイス・ハミルトン、2008年F1中国GPにて
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ライバル不在…今のルイス・ハミルトンは僕が知る昔の彼とは全くの別人、とジェンソン・バトン

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マクラーレン時代の元チームメイトであるジェンソン・バトンは、今のルイス・ハミルトンというドライバーは自身が知るキャリア初期の頃とは別人だと考えている。

35歳というキャリア絶頂期にあるイギリス人ドライバーは今年、F1史上最多記録を93勝に更新するなど他を寄せ付けないパーフェクトなシーズンを送っており、ミハエル・シューマッハと並ぶ7度目の世界タイトルに王手をかけている。

警官によるブレオナ・テイラーさん射殺事件に抗議するTシャツを着用するメルセデスのルイス・ハミルトン、2020年F1トスカーナGPにて
© Daimler AG

その一貫性の高さは特筆すべきものであり、プッシュすべきタイミングとそうでない瞬間を見極める嗅覚、タイヤマネジメントは他の追随を許さない。これは予選1発の速さでは時折ハミルトンを上回るペースを見せながらも、レースになると後塵を拝するチームメイトのバルテリ・ボッタスと比べると一目瞭然だ。

2009年にブラウンGPでF1ワールドチャンピオンを獲得した後、2010年から2013年までマクラーレンでハミルトンをチームメイトとしていたバトンは、コレクティングカーズ・ポッドキャストの中で、現在のハミルトンのドライビングスタイルは当時とは完全に異なると指摘した。

「彼のレースペースをバルテリ(ボッタス)と比較して分かるのは、今のルイスは僕が知っていたかつてのルイスとは別人だという事だ」と バトン。

「僕の知っているルイスは、バルテリのように予選で電光石火の如く速いドライバーだった。決勝レースでも速く、時には相手に一杯食わせる事もあったが、多くの場合ミスをしたり、可能な限り速くAからBへと走る方法を理解していなかった」

「彼は全てのラップで出来る限り速く走ろうとしてタイヤを駄目にしてしまったり、燃料を使いすぎたり、誤った戦略を選んだりしていたんだ」

ホンダの新型シビックタイプRとジェンソン・バトン
© Honda

今やグリッド随一のレース巧者とも評価されるハミルトンだが、以前はレース中のミスや接触が目立つ場面も多く、2011年のドライバーズランキングではバトンに破れ、2016年には幼少期からの絶対的ライバルであるニコ・ロズベルグにタイトルを許した。

何がハミルトンを変えたのだろうか? バトンは強力なチームメイトやライバルの不在が今のハミルトンのドライビングスタイルの変化の一因だと主張する。

「でも今のルイスは全く違う。今の彼はそういう事をしない。それは、マックス・フェルスタッペンが彼をプッシュするような場面がなく、また、彼をプッシュし続けていたニコ・ロズベルグが今はもういないという理由もある」

「自分で言うのもおかしな話だから、ここで僕の名前を挙げるつもりはないけどね!」