ルイス・ハミルトン、メルセデスの7連覇達成後に2020年限りでのF1引退の可能性認める
ミハエル・シューマッハと並ぶ7度目の世界タイトルが確定的と見られるルイス・ハミルトンは「来年ここにいるかどうかさえ分からない」等として、2020年シーズン限りでF1から引退する可能性がある事を認めた。
チームメイトのバルテリ・ボッタスは既にチームとの1年の契約更新を済ませ、メルセデスでの5シーズン目を確保しているものの、同じく今季限りでメルセデスとの契約が満了を迎える35歳のイギリス人ドライバーは依然として契約にサインしていない。
優勝したルイス・ハミルトンの健闘を称えるメルセデスのトト・ウォルフ代表 / © Daimler AG
ハミルトンは14年ぶりの復活を遂げたイモラでのF1エミリア・ロマーニャGPでキャリア通算93勝目を上げ、メルセデスAMGペトロナスF1チームのコンストラクターズ選手権7連覇に大きな貢献を果たすと共に、次戦トルコでの自身通算7度目のF1ワールドチャンピオンに王手をかけた。
チーム代表としてメルセデスF1を率いてきたトト・ウォルフはイモラでの週末、誰にでも”選手生命”なるものがある等として、チーム指揮官としての立場を今季限りで退く可能性に言及した。ウォルフはダイムラーとの間で来季以降の自身の役務について協議しており、後継者に値する意中の人物がいる事を認め、メルセデスに残る意向を示す一方で現在とは異なる役職に就く事もあると説明した。
全幅の信頼を置く上司が今の役割を辞する事になれば将来に影響を与えるのでは? 優勝後のトップ3会見でこのように問われたハミルトンは「来年ここにいるかさえ分からないから、今のところは気にしていない」と語った。
「トトとは何度も込み入った話をしてお互いの考えを共有してきたから、彼の気持ちがどこにあるのかはよく分かっているし、共に大きなものを背負っていると思ってる」
「僕はかなり長い間ここにいるから、少し手を引いて家族や何かのために自分の時間を割きたいという彼の気持ちは良く理解できる」
「誰が彼の後任になるかは分からないけど、彼はリーダーなんだ。仕事ができそうにない人や、やる気がない人、準備が整っていない人に役割を託したりはしないはずだ。適切な人材を見つけてくると思う」
「彼が何をやりたいと思うにしろ、僕は彼を応援している」
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でシーズンがずれ込んでいるために、後4レースを残しているとは言え、時は既に11月だ。来年のF1不参戦の可能性はどれほど現実的なのか?と問われたハミルトンは次のように答えた。
「もう11月で、クリスマスがそんなに遠くないなんてクレイジーだね。もちろん気分は最高だし、自分自身の速さには手応えを感じているから、この状態をこの先何ヶ月も続けられるとは思ってる」
「でも分からないんだ。さっきトトに関する話が出たけど、僕の頭の中には色々な事が駆け巡っている。来年もこの場所にいたいと思っているけど、保証はなにもない。”アフターライフ”について楽しみにしている事がたくさんあるしね。どうなるかは時が経てば分かるはずだ」
ハミルトンはこれまで、メルセデスとの間で3年契約を2度延長した後、2018年に2年の契約延長にサインしている。次の契約更新について以前は「形式的なものになると思う」と語り、来季以降のメルセデスでのF1参戦は確実との考えを示していた。
ところが前戦ポルトガルGPの週末に突如、契約交渉の遅れは「時代背景が大きく関係している」としてCOVID-19による世界情勢の影響を認めると共に、「今後3年に渡ってメルセデスと共に旅を続けたいかどうか分からない」などとして、1年契約を望んでいる事を伺わせていた。
2022年には新たな空力レギュレーションが導入される予定となっており、V6ハイブリッド・ターボ時代の王者であるメルセデスが、新時代でも現在と同等レベルの高い競争力を発揮できるかどうかは不透明で、更に指揮官が交代する事になれば一層状況は未知数となり得る。