「H26」のガチ過ぎる2026年F1参戦計画、巨額を得て既に車体開発に着手か
2026年の新規参戦に向けてコードネーム「H26」の名で極秘に進められているF1プロジェクトのガチ過ぎる実態が明らかになってきた。既に60名もの人材を抱え、英国シルバーストンの旧メルセデス風洞(50%)を使っての車体開発が「順調」に推移しているという。
最も信頼に足るF1ジャーナリストの一人、ディーター・レンケンによると「H26」は、イギリスを本拠としてFIA-F2選手権やF3、GB3選手権などに参戦するハイテックGPの新プロジェクトだ。チーム代表のオリバー・オークスは長年に渡って最高峰クラスへの進出を目指してきたとされる。
プロジェクトを率いるのは、BARホンダでキャリアをスタートさせ、ルノー、マルシャ、フェラーリ、マノー等、多くのチームで技術職を務めてきたデイブ・グリーンウッドだ。調査の結果、2022年2月から責任者を務めている事が確認できた。
またレンケンによるとジョーダン、ルノー、レッドブル、ケータハム、ザウバーで活躍したマーク・スミスがテクニカルディレクターに、昨年5月までレッドブル・アドバンスト・テクノロジー(RAT)に在籍していたキース・バークレイがチーフデザイナーに、そして同じく昨年8月までRATでヴァルキリーの開発に関わっていたジェームス・ナプトンが車両科学部門のトップに就任したという。
これらはサウジアラビアGP後にF1ジャーナリストのジョー・サワードが報告していた情報とも一部、一致する。
最終的にはオックスフォードシャー北東部のビスターに新たな拠点を設ける計画で、現在はシルバーストンにあるハイテックの旧F2/3拠点において、現時点でのFIAクラッシュテストと荷重係数に基づきシャシーやロールフープ等の設計が進められているという。その進捗についてレンケンは「驚くべきものにほかならない」と指摘した。
ハイテックはパワーユニットサプライヤーとしてメルセデスとの提携を望んでいるとの事で、メルセデスのトト・ウォルフCEOとアストンマーチンのローレンス・ストロール会長の「関係悪化」を背景に、ハイテックが事実上のメルセデスBチームとなる可能性を指摘する声があるとレンケンは伝えている。
アストンがメルセデスとの関係を断つとすれば、新たなPUサプライヤーの候補として取り沙汰されるのはレッドブル・フォードかルノーか、それともホンダか。
ハイテックは一時、元ハースF1ドライバーのニキータ・マゼピンの父ドミトリーが筆頭株主(75%)として支配するチームであったが、ロシア軍によるウクライナ侵攻を経てオークスが再び経営権を完全に取り戻した。つまり、現在はかつてあった莫大なロシアンマネーがないという事だ。
レンケンはウォルフが最近、チームの立ち上げからF1参戦資格を得るためまでに約10億ドル(約1320億円)の費用がかかると指摘した事に触れ、60名もの優秀かつ高額なエンジニアを少なくとも向こう3年間に渡って維持するための資金は何処から来ているのかと疑問を呈した。
そして、ハイテックのWEBサイトに掲げられているアラブ首長国連邦のエミレーツ国営石油会社(ENPC)や、ウィリアムズF1チームのオーナー、ドリルトン・キャピタルの所有者に触れた。
今年2月に募集が開始された国際自動車連盟(FIA)による審査プロセスは6月30日までに最終決定が下される予定で、早ければ2025年に2つのF1チームが誕生する可能性がある。
エントリーしたのはH26と同じく中東との関係が指摘される男女均等の「フォーミュラ・イコール」、最有力候補のアンドレッティ・キャデラック、そしてパンテーラ・チームアジアの4チームと見られている。いずれも独自の魅力と訴求力を備えている。