東京オリンピックでのイタリア代表を応援するステッカーが貼られたスクーデリア・フェラーリSF21、2021年F1ハンガリーGPにて
Courtesy Of Ferrari S.p.A.

フェラーリF1、2021年終盤にエンジンアップグレードを計画…大幅な性能向上見込む

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スクーデリア・フェラーリが2021年シーズンの終盤にF1パワーユニット(PU)のアップグレードを計画している事が分かった。正式な投入時期は明らかにされていないが、第14戦イタリアGP以降が見込まれる。

シャシー同様、PUもまたパンデミックに対するコスト削減策の一貫としてホモロゲートされている。2021年は性能向上を目的とした開発に制限が課されており、2019年以前のように自由にアップグレードを投じる事はできないが、例外が設けられている。

ICE(内燃エンジン)とターボ、MGU-H、燃料及び潤滑油に関しては、昨年終幕後から今季終幕までの間に1度に限り、またES(バッテリー)、MGU-K、CE(コントロール・エレクトロニクス)に関しては昨季中にアップデートしている場合を除き、こちらも1度に限り新スペックを投入する事ができる。

フェラーリは前半戦を終えてなお、この特例を使い切っていなかったようだ。

メルセデスやホンダ、アルピーヌは既に新型コンポーネントを導入済みと見られているため、フェラーリにとってのライバルエンジンメーカー勢はシーズン中の交換で同一スペックを開封しなければならないが、フェラーリは2020年スペックを使い続けていた。

英Autosportが伝えたところによるとフェラーリのマッティア・ビノット代表は「シーズン初めに製造したパワーユニットには開発の全てを投入したわけではない。昨年型を継続したコンポーネントがあるため、それに進化をもたらす事ができる」と語った。

また「これは我々にとって、シーズン終盤に向けて大きな意味を持つステップになるだろう。ただそれ以上に重要なのは、2022年シーズンを視野に経験値を得る事ができるという点だ」と述べ、今回のアップデートによってパフォーマンスの大幅改善が期待できるとした。

導入時期は明らかにされていないもののビノットによると、モンツァ・サーキットでのホームグランプリ前に導入される事はないとの事で、ハンガリーGPでクラッシュしたシャルル・ルクレールがベルギーGPで開封する事になるPUは現行スペックのままとなりそうだ。

またビノットは、メルセデスとレッドブル・ホンダに対する現在の遅れの「6割」はエンジン性能によるものだとして「これまでのところ、メルセデスとホンダの後塵を拝している」と述べ、ライバルが先行している事を認めた。

2022年仕様の跳馬パワーユニットに関しては、エンジン前部にコンプレッサー、後部にタービンを配して、これをシャフトで連結するスプリットターボ式のレイアウトの導入が噂されているが、一部には既に採用を見送る決断を下したとの見方もある。

なおこのレイアウトはメルセデスとホンダが現在採用しているもので、アルピーヌも2022年に同様のコンセプトを導入する方針だと考えられている。