アルファロメオ・ザウバーF1チームの2018年マシンC37
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アルファロメオ、2019年夏までにザウバーF1を完全買収か?

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アルファロメオを所有するフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が、2019年夏までにザウバーF1チームの全株式を購入する可能性が浮上。完全買収によるフルワークス化のシナリオが出てきた。

イタリアの高性能自動車メーカー、アルファロメオをタイトルスポンサーとするザウバーの所有権は依然としてロングボウ・ファイナンスが保有しているものの、両者は関係性を強化。2019シーズンのF1世界選手権に「アルファロメオ・レーシング」として参戦する事が決定した。

チーム運営は従来どおりスイス・ヒンヴィルのチームが行うものの、歴史ある”ザウバー”という名称は消滅。独AutoBildが報じたところによれば、FCAはザウバーの命名権を600万ユーロ、日本円にして約74億9,400万円で取得。更に、2019年夏を最終期限として、完全買収のオプションを握っているという。

アルファロメオと同じFCA傘下のスクーデリア・フェラーリは、人材面でザウバーとの交流を加速。昨年5月に、同チームの技術部門No.2のシモーネ・レスタをザウバーへと移籍させ、ザウバーのレギュラードライバーを務めていたシャルル・ルクレールとキミ・ライコネンをスワップした。

ザウバーの買収が実現した場合、フェラーリは”実験室”としてのセカンドチームを所有する事になり、マシン開発の面で大きなアドバンテージを得る事になる。更に、FCAグループがF1で2チームを所有するという事実は、F1の商業圏を持つリバティ・メディアにとっては頭の痛い問題となる可能性がある。

故セルジオ・マルキオンネ会長は2021年以降のF1レギュレーション案、特にパワーユニット関連の”技術的後退”に不満を示し、青写真を提示したリバティ・メディアとFIA国際自動車連盟に対して、フェラーリのF1撤退をちらつかせて変更を迫った。買収が現実化すると、FCAはフェラーリに加えてザウバーを交渉のカードに加える事となり、政治的発言力を高める事が可能となる。