F1用ギアボックスの製造風景、メルセデスAMGのブラックリー工場にて
Courtesy Of Mercedes

F1、2021年に標準ギアボックスを導入…FIAが入札を開始。見え隠れする次世代の姿

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F1統括団体のFIA国際自動車連盟は19日、2021年シーズンから2024年までの4年間における、F1用の”標準ギアボックス”の入札を開始した。締切は3月15日までとなっており、4月15日以降に決定事項が発表される。

共通化されるのはケーシング(ギアボックス内蔵用のコンポーネント)を除く内部機構全て。共通化が実現すると、同一仕様のギアボックスがシーズンを跨いで使用される事となる。チームは独自でギアボックスを製造・開発・調達する必要がなくなり、運営コストが削減される。

ケーシングが除外されたのは、サスペンションとギアボックス表層エレメントの設計自由を確保するため。コモンパーツの導入が決定したとしても、従来どおりチームは独自でこれを製造しなければならない。ケーシングを含めたギアボックスパッケージは車体剛性などに大きく影響するため、単なるパーツというよりも構造そのものといった側面がある。

噂では、英国でトランスミッション関連の事業を営むXtrac社が有力候補だとされているが、現在参戦中のF1チームが入札を勝ち取れば、ライバルチームを含めた全10チームに自社開発のギアボックスを使わせる事が可能となる。例えば現在F1で使われているECUは標準パーツであり、マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ製のものを使用しなくてはならない。

同一仕様のギアボックスは決して突飛な話ではない。アルファロメオとハースはフェラーリから、レーシングポイントはメルセデスから、そしてトロ・ロッソはレッドブルからギアボックス一式を調達しており、全く同じパッケージを使用している。むしろ唐突なのは締切まで1ヶ月を切っているという点だ。既に内定している事すら疑われる。

入札要項によれば、21年以降のギアボックスは現行の8速から7速へと少段化し、重量は約1.5kg程度増加するようだ。更にこの要項の仕様要求からは、FIAとF1が思い描いている2021年以降のフォーミュラ1の姿が垣間見えてくる。MGU-K=運動エネルギー回生システムの出力は30kw増加し、想定平均速度は約14%上昇。更に、1シーズン最大24戦開催を想定している事が読み取れる。