ホンダのF1マシン「RA273」を駆るジョン・サーティース、1967年南アフリカGP、キャラミGPサーキットにて (1)
Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd

キャラミでのF1南アフリカGP、30年ぶりに復活か…鍵を握るはルイス・ハミルトン

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往年のF1ファンにとっては何と懐かしい響きだろうか。キャラミGPサーキットでのF1南アフリカGPが、早ければ2023年に復活する可能性がある。実現すれば30年ぶりのカレンダー入りとなる。

南アフリカGPの初開催は1962年。以降断続的にイースト・ロンドン・サーキットとキャラミGPサーキットで開催されてきたが、人権問題が大きく取り沙汰された事が中止の引き金となった。

2019年キャラミ9時間レースを走るフェラーリ
2019年キャラミ9時間レースを走るフェラーリ488GT3

人種隔離政策として悪名高いアパルトヘイト政策への抗議として南アフリカGPは1985年に中断され、1992年に再び開催されるも1993年を最後にカレンダーから姿を消した。

なお同政策は1994年に全ての人種による初の総選挙が行われ、ネルソン・マンデラ大統領の誕生と共に撤廃された。だが、設備の老朽化や観客動員数の減少などから財政面に課題が生じ、再びスケジュールに組み込まれる事はなかった。

バーニー・エクレストンからリバティ・メディアへと商業権が移ると共に、F1は隆盛激しいアフリカ大陸でのグランプリ開催復活を検討。昨年までF1の商業部門を率いていたショーン・ブラッチズは南アフリカやモロッコの名を挙げていたが、ここに来てキャラミでの復活の可能性が高まっている。

南アフリカ出身の1979年のF1ワールドチャンピオン、ジョディ・シェクターの甥であり、南アフリカGP社(South African GP Ltd)の最高経営責任者を務めるウォーレン・シェクターはRaceFansとのインタビューの中で、キャラミは「最も論理的な場所」であるとしてグランプリ開催に自信を示した。

キャラミGPサーキットはグランプリ中止後もプレシーズンテストの会場として使用された事もあり、2016年にはコースの全面改修が行われている。

F1を開催するためにはFIAグレード1ライセンスを取得する必要があるが、ウォーレン・シェクターCEOは規格取得のためにコースに手を加える必要は「殆どない」とした上で「我々が目標としているのは2022年の開催だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響を考慮すれば2023年の方が可能性は高い」と語った。

F1は昨年3月に南アフリカGP社の主催で、南アフリカ最大の都市ヨハネスブルグでファンフェスティバルを開催する予定であったが、新型肺炎の流行で中止を余儀なくされた。

ホンダのF1マシン「RA273」を駆るジョン・サーティース、1967年南アフリカGP、キャラミGPサーキットにて (2)
ホンダのF1マシン「RA273」を駆るジョン・サーティース、1967年南アフリカGP、キャラミGPサーキットにて

伝えられるところによると、チェイス・ケアリーに代わって新たにF1のCEOに就任したステファノ・ドメニカリはアフリカ大陸でのグランプリ開催を望んでいるとされるが、その背景に7度のF1ワールドチャンピオンがいる事は疑いない。

メルセデスのルイス・ハミルトンはイギリス国籍ながらも、父アンソニーがアフリカをルーツとしており、アフリカ大陸でのレース開催に意欲を示している。

世界的な人種差別撤廃運動の高まりに加えて、ハミルトン自身は今年で円熟の36歳を迎えており、現役F1ドライバーとしての活動も終盤に差し掛かっている。

F1のグリッドに付く20名のドライバーの中でアフリカ系はハミルトンのみだ。引退の可能性を考慮すれば、F1がハミルトンの在籍中にアフリカ大陸でレースを開催したい意向があると考えるのは妥当だろう。