F1フレキシブル論争再び…マクラーレンとフェラーリに向けられるレッドブルの疑いの目
コンストラクター選手権争いで躍進するフェラーリおよびマクラーレンのフロントウイングの設計に、ランキング首位のレッドブルが疑惑の目を向けているようだ。
今年もまた、古くて新しいF1伝統のフレキシブル・ウイング論争が勃発した。統括団体の国際自動車連盟(FIA)は定期的に負荷及びたわみ検査を強化し、違反行為への監視を強めているが、チームは常にこれを掻い潜る。
リアウィングやフロアも”たわみ開発”の焦点になるが、今回はフロントウイングだ。
アストンマーチンは昨年、フェルナンド・アロンソが開幕6戦の全てで表彰台に挙がる驚異的なパフォーマンスを発揮したものの、技術指示(TD)により取り締まりが強化されると一転、競争力を失った。
TDによる規制強化にも関わらず、チームは再び抜け穴を発見したようで、独auto Motor und Sportによるとレッドブルは、自身に次ぐコンストラクター選手権2位のフェラーリと3位マクラーレンのフロントウイングに疑惑の目を向けているという。
レッドブルはアストンマーチンを含む他のチームに対し、FIAに抗議の声を上げるよう呼びかけたとされるが、期待していたような支持を得ることができなかったと伝えられている。
アストンが消極的な姿勢を示した背景には、自分達自身も同様のアップグレードを模索しているためだと見られており、メルセデスは当初、レッドブルと同じ様にライバルチームのフロントウイングに目をつけたが、非難の声を上げる代わりに同じアプローチのウイングを開発したとされる。
モナコで導入された新型フロントウイングは明らかにシルバーアローの競争力を引き上げた。この新しい空力パーツについてメルセデスのトト・ウォルフ代表は、モナコやカナダと言ったイレギュラーなコースだけでなく、オーソドックスなサーキットが続く欧州ラウンドでも有効に機能するだろうとの見通しを示している。
噂では、レッドブルはW15の新型ウイングとノーズを監視するようFIAに非公式の要請を行ったとされる。
フラップを後方に傾ける者もいれば、ウィング全体をねじる者もいるなど、一言で”フレキシブル”と言っても、何がどのように曲がるのかはチーム毎に異なる。ただ、目指す所は変わらない。
低中速コーナーでドライバーは、素早いターンを可能とする強いフロントエンドを求めるが、この場合、高速コーナーではドライバーの肝を冷やすオーバーステアとなりかねない。
そこでチームは、高速域で上手くフロントウイングをたわませ、前方のダウンフォースを減少させることで弱アンダーを狙う。あらゆる種類のコーナーで別個に最適なダウンフォースを発生させようというわけだ。
現時点でFIAは、メルセデスやフェラーリ、マクラーレンが規定に違反したとは見なしておらず、直ちに技術指令が出される状況ではない模様だ。報道によるとレッドブルは、この状況が容認され続けるのであれば、自分達も同じ道を追求する意向を示しているという。